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映像記憶(=カメラアイ)について [ひとりごと]

前回の記事を読んでくださった方より、
映像記憶(以下、カメラアイ)についての
ご質問を受けたので、お答えしようと思う。


同じような障害になやむ方、あるいはそういった障害をもつ
お子さんの親御さんにとって、参考になるかもしれないと
思うから。

私が子どもの頃は、カメラアイという概念はなかったと思う。
あっても一般的ではなかった。だから、私は自分がカメラアイ
であることに気がついたのは、わりと最近のことである。

幼少時における教育において、カメラアイを持つ者は
非常に有利である。
小学校のころの私は、理科とか社会などの暗記を中心
とした科目は、常に高得点であった。
ノートなど取らなくても、先生の書いた黒板を見ている
だけで覚えることができたから。
それで、苦労した記憶はない。
逆に、周囲の子が覚えることができないのが、
不思議で仕方がなかった。

中学になってからは、徐々に、それではすまなくなったね。www
まず、苦手だったのは、英語である。

たとえば、Apple=りんご という記憶をするためには、
Appleという文字列と、りんごという「概念」を関連づけ
なくてはならない。カメラアイの人は、こういうのが
苦手なのである。 私は、Appleという単語を覚えるために、
りんごの絵を何枚も描いたね。
また、カメラアイの人は、音声による情報処理が不得意である。
そのようなことから、リスニングは苦手であった。

それでも、なんとか、大学入試のレベルまで
こぎつけることができたのは、日本における
英語教育というのは、語学などではなく、
果てしない暗記の連続であることによる。
私らの頃は、大学入試にリスニングはなかったし。


大学に入ってからは、はっきり言って、
授業には、まったくついて行けなくなったね。www

経済学部経営学科に入って、経済原論が必修だったけど、
「人間の労働には、具体的有用労働と抽象的人間労働
があり、具体的有用労働は商品の使用価値を生産し、
抽象的人間労働は商品の交換価値を形成する」
とか言われても、なんのことか、さっぱりわからなかった。

カメラアイの人は、こういう抽象的なことを考えるのが
苦手である。中学の頃のように、りんごの絵を何枚も描く
だけではすまなくなったし。

当然、授業には出なくなった。
聞いてもわかんないもんな。

それでも、無事に124単位を取得して、卒業できたのは、
友人と先輩の協力による。試験の前に、前年の出題を調べて
模範解答を見せてもらうのである。
見て覚えるのは得意だから、Aは取れなくても、
Bくらいは取れた。

卒業前に、自分の進路を考えたとき、
「まあ、ふつうの会社員とか公務員(官僚)は無理だな。」
と思った。
はっきり言って、カメラアイの人にとっては
資料を読むのは、ふつうの人にくらべて2~3倍早いし、
一度見たものは忘れない。けど、内容まで理解している
わけではないから、読解力とか、それによる応用力とか、
そんなものを求められても困るのである。

そこで、就職先には広告代理店を選んだ。
グラフィックデザインとか、写真とか、
画像をあつかう仕事ならなんとかなると思ったから。
まあ、うまくはまって、それなりにスルドく働いた。

カメラアイの人がうまく評価されるには、
画像とか表を用いて説明することである。
パワーポイントを用いたプレゼンは、
カメラアイの人にとっては、大の得意である。
正直いって、内容がすべて理解できていなくても、
なんとか、格好がついてしまうのである。
そういう意味では、時代というか、IT技術の発達に
救われたところがあるね。

音声による情報処理は苦手だから、会議は苦痛であった。
発言を聞いても、「なに言ってんだ、こいつ。」と思う
ことが多かった。
けど、いまどきの会社では、会議に出席して発言する
ためには、必ず資料を出すことがルール化されている。
だから、それを見れば、なんとかなった。

会議の最後に、社長とか常務がまとめの発言をする
ことがあるのだけど、これについては、本当に、
なにを言ってるのか、さっぱりわからなかった。
「おまえ、なに言ってるんだよ。」
と言いたかったけど、こういうときは黙っていることで、
なんとか乗り切った。


フラッシュバックには、悩まされるねー。
中学とか高校のときの失敗が、いまだに思い出されるもんな。
しかも、画像付きで。www
夜中に、「う、うーっ」と叫んでしまうことは、よくある。

これについては、もう、あきらめている。
人間とは後悔するようにできているものだし、
悔いてばかりいると前にすすめない、と思って、
割り切っている。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
カメラアイは、よくある発達障害である。
うまくつきあっていくしかないから。


ま、私の場合は、まだ障害としては軽度であったから。
なんとか、社会人として生活できたところがあるね。

フラッシュバックがひどくなると、重大な精神障害や
うつ病につながる。うまくつきあっていくといっても
程度問題だから。そういう場合は、休むことである。
私の場合、フラッシュバックに悩まされたとき、
10日くらい、会社を休んだことがある。
会社には、風邪をこじらせた、と言っておいたけど。

最終的には、会社をやめて、ひとりで仕事をせざるを
得なくなった。けど、まあ、この社会、人間関係さえ
うまく構築しておけば、なんとかなるから。
心配することはないから。


<追記>
職場に、なんでもA4 1枚の表にまとめたがるやつがいた。
一見、わかりやすいんだけど、項目ごとの関連性が
まったくないから、意味がわかんないんだよな。
「ああ、こいつもなのかな。」
と思った。言わなかったけど。



経済原論が理解できなかったのは、単にあなたがバカだったからではないですか?
というご指摘をいただいた。

→そうかもしれませんね。w

このブログでは、何度も書いていますが、私がバカなのは、まあ、そのとおりです。が、カメラアイの者にとっては、本当に抽象的な話を聞くのが苦手なんですよ。

小学校の頃、朝礼のときの校長先生の話がわからなくて、悩みました。せっかく、いい話をされているのだから聞かなくては、とは思うのですが、ぜんぜん入ってこないんですよー。
音声による情報処理が苦手なのと、仮定の設定にもとづいた抽象的な話が多いので、カメラアイの者にとっては、本当に理解しづらいんですわ。

経済原論についてですが、「具体的有用労働と抽象的人間労働」については、マルクスの資本論からの引用です。が、もう、100年以上も前に考えられた概念ですから、現代の労働の概念とくらべて、おおきなズレがあります。それは仕方がないのですが、当時、学生だった私にとっては、「そんな話、いまされてもなー。」という感じでした。授業が近代経済学にすすみ、「限界効用」について教えられたときも、「ホンマかいなー」という感じでした。

そもそも、経済学という学問、いいかげんすぎますよ。
現在の日本の経済政策は、元FRB議長でノーベル賞受賞者であるベン・バーナンキのインフレターゲット論につよく影響された大幅な金融緩和、いわゆるアベノミクスと呼ばれたものです。が、それまでのマネーサプライを抑えることにより、円の価値を維持しようとしてきた一派にとっては、「アベノミクス=アホノミクス」ですからね。www

その時の政権、学者の考え方により、いかようにでも解釈できるのが経済学という学問なのかもしれません。が、「それならそうと、はやくいってよー。」という感じですわ。

受験などでは、むしろ有利なのではないですか。
というご質問をいただいた。

→関係ありません。

見たままの問題が出題されるもの、たとえば化学の元素記号表などは簡単に覚えられますから、たしかに有利です。
でも、そこからの応用、たとえば、「2族の元素は、すべて2価の陽イオンになる」と言われても、「は?」となります。

ということで、
 2Mg + O2 → 2MgO
 Ca + 2H2O → Ca(OH)2 + H2
これらの化学式が正しいかどうか、の判断はつかないですね。

「それじゃ、意味ないじゃん」と思われた方、まさにそのとおりでして、元素記号表を覚えられても、問題が解けないのでは、意味がないのです。私は人生を通して、こういうことに悩むことが、すごく多かったです。


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