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開陽台に行ってきた [ツーリング情報]

開陽台に行ってきた。


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開陽台駐車場にて


「ライダーの聖地」と言われるところは、
全国にいろいろある。
なぎさドライブウェイとか、阿蘇の草千里とか。
かわったところでは、スズキの隼乗り限定で、
若桜鉄道の隼駅というのもある。

北海道標津(しべつ)郡中標津町にある開陽台は、
数あるライダーの聖地のなかでも、最も有名な
ところであろう。
8月中旬には、開陽台ライダーズミーティングも
開催されるし。



まだ、こんなに有名になる前、
私は開陽台を訪れたことがある。
大学に入った年の夏休みのことだった。
開陽台のある中標津町の隣り、別海町にある
尾岱沼(おだいとう)ユースホステルに泊まった
私と友人は、ペアレントの
「裏摩周ジンギスカンパーティに参加しませんか。
マイクロバスで送迎。で、3,000円で食べ放題です。」
という誘いに、つい、乗ってしまったのだった。

で、他の宿泊者たちといっしょに裏摩周展望台の近くで
ジンギスカンパーティをした帰り、開陽台によった。

当時 開陽台はそんなに有名ではなく、
小高い丘に、ちいさな展望台があるだけのところであった。
地平線が見えますよ、という案内をされたけれども、
北海道にいれば、地平線はそんなにめずらしいものではない。
ふーん、という感じで見るのみであった。

尾岱沼に戻る途中、私たちは釧路に行きたかったので、
途中にある標津線の計根別(けねべつ) という駅で
降ろしてもらった。1976年のことであった。
※1989年に標津線の廃線とともに廃止されている




その後、開陽台は急速に有名になった。
佐々木 譲氏の「振り返れば地平線」(1982年)という
小説が有名になり、バイク雑誌がこぞって
取り上げるようになったのだ。

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振り返れば地平線


いまはどうか知らないが、バイク雑誌はだいたい
8月になると北海道特集をやる。その中で、開陽台は
必ずといっていいほど、紹介された。

私はというと、オートバイに乗り始めて、
もう、30年以上になるけれど、オートバイで
再び開陽台を訪れることはなかった。
あまりにも有名になりすぎてしまったのと、
若い時期ならともかく、中高年になってから、
こういったミーハーなところに行くのが、
すこし、気恥ずかしかったのだ。
意識的に避けていた、と言ってもいい。

そんな私が、今回、開陽台を訪れてみようと
思ったのは、やはり、年齢をとったからであると思う。
多くのオートバイ乗りが訪れて、感動を味わったところに
行ったことがないというのは、残念なことだな、
と思ったのだ。

私は67歳になるし、おまけに糖尿病を患っている。
もう、人生の残り時間があまりないし、体力的に考えて
おそらく、最後の北海道ツーリングになるだろう。
そのようなことから、開陽台に行ってみよう、と思った
のである。



2023年9月5月午後2時、苫小牧フェリーターミナルに
降り立った私は、中標津町にむかった。
無理をせず、途中で一泊して、9月6日の午後、
私は開陽台についた。

着いたときに思ったこと。
「あのときと同じだな。」www

私は、ふつうの人にくらべて記憶の仕方が
すこし変わっている。文字や単語、文章よりも、
画像をよく覚えるのである。
「.txt」よりも「.jpg」のデータが、脳のなかに
たくさんある感じだ。一種の障害である。
ということで、文字や単語を大量に覚えなければ
ならない受験勉強は苦手であった。
だが、一度見た風景などは、長期間、忘れない。
50年以上前に見た風景が、昨日のように蘇ってきた。

「地球が丸く見える 開陽台」というモニュメントは、
たしか、50年前にもあった。
展望台は、大きく立派になっていた。
50年前は、2階建ての小さな展望台であったけれど、
現在のものは3階建てで、1Fは売店とトイレになっていた。

なかなか、いいところだなと思った。
もちろん、北海道には、もっと風景のいいところは
たくさんあるし、自然が残っているという点では、
知床の方がずっと上である。
けれども、やはり、多くのオートバイ乗りたちが
集まるだけのことはあるな、と思った。

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現在の開陽台


その夜、私はキャンプをして、開陽台に滞在した。
キャンプをしていたのは5人だけであった。
1990年代、全盛期の開陽台では、キャンプ場がテントで
埋めつくされたようだけど。
夜半には濃い霧が出て、小雨が降った。
「せっかく開陽台に来たけれど、なにも見えないのかな。」
と思った。残念だけど、まあ、仕方がない。

翌朝、雨はあがり、よく晴れていた。
私はまた、展望台に登ってみた。
地平線が、きれいに見えていた。
ふりかえると、西の空に虹がかかっていた。
人生最後の北海道ツーリングで、私は大きなプレゼントを
もらったような気がした。

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ということで、今回の記事のまとめであるが、
開陽台は、なかなかいいところである。それだけ。
オートバイに乗られる方は、一度は訪れた方が
いいだろう。


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