北岳に登ってきた 4 [旅情報]
ガスにつつまれた肩の小屋
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肩の小屋
午後2時10分、肩の小屋に到着した。予想以上に早く到着
できた。今夜はここに泊まる予定なので、受付をすませ、
しばし休息する。
天気は下り坂である。幸い、いまは少しガスが出ていて風は
あるものの、雨は降っていない。山の天気は変わりやすいから、
明日は強風、あるいは激しい雨で登頂できないかもしれない。
そこで私は、今日じゅうに登頂してしまうことにした。
けれど、自分ではわからないのだが、ここに来るまでに、
かなり体力を消耗しているのかもしれない。そこで、私は
ザックを山小屋に預け、登頂に必要な最低限のものだけを
ポケットに入れ、手ぶらで登ることにした。
必要最低限のものとは、水500CCと携帯電話とヘッドライト。
それだけ。
気圧が低いと脱水症状を起こしやすいから、水は絶対に
必要である。それと、日が暮れたときのためのヘッドライトと、
万一、なにかあったときの連絡用として、携帯電話も絶対に必要。
あとは不要である。そう、思った。
カメラは置いていった。
午後3時00分、肩の小屋を出て、登頂を開始する。
標高3000メートルを超えると、気圧は平地の70%くらい
しかない。酸欠で失神しないように、ゆっくりゆっくり、
登っていく。
ここまで、予想以上に役に立ったのは、DIY店のカインズ
ホームで買ってきた、2本のポールであった。1本980円。
ポールは非常に効果的で、初心者の足どりを上級者に
変えると思う。足元が悪い状況でも安全に登ることができるし、
上半身の力も登坂に使うことができるから、楽である。
登山初心者である私が、北岳に無事に登頂、さらに下山
できたのは、この2本のポールのおかげである、と言っても
過言ではない。ちょっと長めの120cmのものが使いやすい
と思う。
1本980円で買ってきたポール (トレッキングステッキ)
午後4時ごろ、頂上に到着した。
頂上には、カップヌードルを食べている人がいた。
なぜ、北岳の頂上でカップヌードル? と思ったけれど、
気のいい人で、「記念写真を撮りましょうか?」と言って
くださったので、その人に頼んで、携帯電話で写真を
撮ってもらった。
無事に登頂したという報告と、本当に登頂したという証拠
をかねて、その場で家族と友人に写真付きメールを送った。
電波はかろうじて通じた。北岳山頂からメールが送れる
のだから、世の中、変わったものである。
北岳の頂上からみる景色は...ガスっていて、景色なんか
なにも見えなかった。その場に15分くらいいたけれど、
ガスが晴れないので、あきらめて降りた。
午後4時50分、肩の小屋に戻った。
(長くなったから次回につづく)