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電気系統のアクセサリー、改造は効果が疑問なものが多い [オートバイの話]

燃費向上だとか、出力アップをうたった電気系統のアクセサリー
や改造が流行っているけれど、そういったもののほとんどは、
効果があるかどうかは疑問である。


写真はイメージです
 

私は小学生の頃から、ラジオ工作をやってきた。そのため、
電気関係の知識・経験は、一般の人よりは、多少、持っている
つもりである。その経験からいって、いまどきよく見かける
「燃費向上」だとか「出力向上」をうたった電気系統のアクセサリー
や改造というのは、そのほとんどが、効果があるかどうかは
疑問であると、私は考えている。
 
断っておくけれど、私はここで、自分の知識をひけらかすつもりなど、
まったくない。ただ、多くの善良な人々が、無駄にお金を失っている
ことに、我慢がならないだけである。また、そういう商品を売っている
メーカーの姿勢にも、疑問を感じるから。

以下、具体的な例をあげてみよう。
 
 

ホット○ナズマ およびその類似品、自作品

すでに、いろんなところで書かれているけど、これって、中身は
単なるアルミ電解コンデンサである。そして、電気の知識が
ある方は、自作したりもする。けれど、その効果は疑問であるし、
本来の電子機器にも悪影響を与えるかもしれないから、
付けるのはやめておいた方が無難であろう。

たしかに、大容量のアルミ電解コンデンサは、バッテリーを
積まない小型バイクなどでは蓄電用として用いられている。
が、ちゃんと充電されたバッテリーを積んでいるのであれば、
ほとんど意味はないと思う。

ノイズの吸収という意味は、多少、あるかもしれない。
クルマやオートバイは、オルタネータという交流の発電機から
発生する交流電流を、レクチファイヤーという整流器により
直流になおしている。その意味では、レクチファイヤーから
来る電流というのは、必ず波打っている。こういうのをリップル
波形というが、大容量のコンデンサにより、それが修正される
という効果は、多少はあるかもしれない。

けれど、子どもの頃からラジオ工作をやってきた私としては、
そういった、あるかどうかわからないメリットよりも、コンデンサ
が瞬間的に放電する危険性の方が、はるかに怖いのである。
私は小学生の頃、蓄電したアルミ電解コンデンサにうっかり
さわってしまって、ビリッときたことがある。精密な電子機器
である現代のオートバイに、あれと同じショックが来ることを
思うと、めちゃめちゃ怖い。
コンデンサの放電は一瞬であり、しかも電圧をコントロールする
ことができないのである。始動のときなど、スイッチを入れた瞬間、
一気に放電が行われ、それがコイルなどに入ってしまったら、
1万ボルトくらいの電圧を持ったノイズ(サージという)となる
危険性は否定できない。

たぶん、ホット○ナズマを搭載したクルマやオートバイは、
電球がよく切れると思う。

まあ、CPU、ROMその他の電子回路は、いきなりそういった
サージが来たからといって、簡単には壊れないように、ちゃんと
バリスタというフィルターがついている。けど、だからといって、
決して機器のためにはいいことはないと思うから、できれば、
ホット○ナズマ、およびその類似品、自作品は、はずして
おいた方が無難であると思うのである。
 
 

アーシング

これも、効果が?な改造である。
クルマやオートバイで、もっとも電気を食うのは、いうまでもなく
スタータモーターである。瞬間的には、50~100Aくらい流れる
らしい。ここに太いワイヤーを使えば、それなりに効果はある
だろう。
けれど、これ以外の機器は、ほとんど電気をくわない。
ヘッドライトでも、せいぜい数Aくらいである。そんなもんに
太いワイヤーをつないでも、全く意味がないと思うのだ。
だいたい、目安としてバッテリーからスタータモーターの付近に
直径3~4ミリの銅線でアースがしてあれば、十分ではないか。
ふつうのオートバイなら、ノーマルでそうなってません?
 
 

イリジウムプラグ

CDI点火のように、一発勝負で点火をするのであれば、
火花の飛びやすいイリジウムプラグは、多少は効果があるかな、
と思う。けれど、いまのクルマやオートバイは、排気ガス対策
のため、ほとんどがフルトランジスタ式バッテリー点火に戻って
いるのである。1/100万秒という単位で、“複数の”火花を飛ばす
わけだから、イリジウムであってもなくても、大した違いはない
のではないか。
ノーマルの点火プラグで火花が飛びづらいというのであれば、
それはプラグそのものが、もう寿命なのである。
あきらめて、さっさと交換した方がいいだろう。
 
 
シリコンプラグコード

まったく意味はない。以上。
 
 
 
電気系統のアクセサリーというのは、その原理、効果が、
一般の方にはわかりづらい場合が多いと思う。それだけに、
燃費が向上するとか、出力が向上するとかいう説明に
引っかかりやすいのだと思う。
さらに、悪徳業者たちは、昔はエンジンにマグネットを付ける
といった、ちょっと考えればだれでも疑問に思うような単純な
代物でユーザーをだましてきた。けれど、最近は、さすがに
そんな手口に引っかかる人は少なくなったから、電気系統
のアクセサリーに移行したようなのである。
 
 
また、電気系統ではないけれど、マイクロ○ンだとかテフロン
なんとかなどというオイル添加剤も、その効果については、
私は限りなく疑惑を持っている。そういった製品の多くは、
エンジン内部の摩擦を低減するとかいう効果をうたったもの
だけど、クルマならともかく、多くのオートバイでは湿式の
クラッチが採用されているのだ。※注
だから、本当にそういった添加剤に効果があるのなら、
クラッチが滑ってしまって、まともに走れないはずである。
オイル添加剤を入れても、ちゃんと走っているということ
そのものが、インチキである動かぬ証拠なのである。

※注 BMWやドゥカティなど、乾式のクラッチを使っているバイクは除く

 
 
こういうことを書くと、必ず「そんなことない!」とか、
「いや、オレの場合、絶対に効果はあった!」とおっしゃる方が
いるものである。一種の信仰状態であろう。
まあ、誰に迷惑をかけているわけでもないのだから、いいでは
ないか、という考え方もできるけど。だから、頭のいい人は、
こういう記事を書いて、わざわざ敵をつくったりしないのか...。
 

けど、私はこのBlogでは、旅とかオートバイが好きな方にとって、
「読むと、ほんの少しタメになること」をめざしているのである。
だから、たとえ効果を信じている人からコテンパンに叩かれても、
1人でも多くの善良なユーザが騙されることがないようにしたいと
思う。だから、ここで電気系統のアクセサリーの愛用者に、しっかり
引導を渡しておく。
 
燃費向上だとか、出力アップをうたった電気系統のアクセサリーや改造は効果ないから。
 
 
 
お詫びと訂正

ホット○ナズマについての解説ですが、最初は以下のように
書いていました。
「始動のときなど、瞬間的に1万ボルトくらいの電流が流れて
しまう危険性は否定できない。」
これに対して読者の方から、「電圧と電流は異なるものです。
直したほうがいいのではないですか。」という指摘を受けました。
なるほど、と思います。そこで、以下のように訂正させていただきました。

「始動のときなど、スイッチを入れた瞬間、一気に放電
が行われ、それがコイルなどに入ってしまったら、1万ボルト
くらいの電圧を持ったノイズ(サージという)となる危険性は
否定できない。」

なんだか説明的すぎるような感じもしますけど。
(^^;A

上の文章を理解できるような方は、そもそも、ホット○ナズマを
つけようなんて考えないと思います。が、正確な解説をする方が
望ましいことは言うまでもありません。ご指摘をいただいた読者
の方には、お礼を申し上げます。



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