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堂平天文台の星空観望会 [ムダ知識]

埼玉県ときがわ町にある常平天文台 (どうだいらてんもんだい)
の星空観望会に行ってきた。


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堂平天文台の観測ドーム

<撮影データ>
 撮影日時:2011年11月25日 午後5時58分
 撮影機材:オリンパス E-510
      ZUIKO DIGITAL ED14-42mm
 露出時間:30秒 絞り:F3.5
 ISO感度:1600



堂平天文台は、東京大学東京天文台堂平観測所として、
1962年に開所された。口径91センチの反射望遠鏡は、当時、
日本最大であった。
(現在は、国立天文台ハワイ観測所の「すばる」が
口径8.2メートルで世界最大。日本国内では、兵庫県立
西はりま天文台の「なゆた」が口径2メートルで最大。)

私自身は、雑誌「天文ガイド」の愛読者であったことから、
堂平の地名は、子どもの頃から知っていた。
けれども、常平天文台は研究施設であることから、
一般には、公開されていなかった。
私は、天文学に関係する仕事について、
いつか、堂平天文台を訪れてみたい、
と思っていたのだが、残念ながら、その夢はかなわなかった。

時は流れ、2000年2月のある日。
私は新聞で、堂平天文台が2000年3月に閉鎖されることを知った。
周辺地域の開発がすすんだことによる光害から、
空が明るくなってしまって、観測ができなくなったのだ。
91センチの望遠鏡も、引き取り手がなくて困っているということだった。
私はなんとも言えず、さびしい気持ちになったものである。


その後、堂平天文台は、埼玉県ときがわ町に移管され、
星と緑の創造センターとして再整備された。
そして、口径91センチの望遠鏡も維持されており、
月に2回、一般公開され、観望会が開催されている。
で、今回、私はその観望会に行ってきたというわけ。
場所はここ


堂平天文台は、秩父の山の中。しかも、林道の終点である。
路面は舗装されているものの、かなりの悪路。
しかも夜間である。
私は安全のことを考え、今回は、上の子のクルマで行った。


午後18時30分、堂平天文台に着く。
すでに、多くの見学者が来ていた。
まずは、口径91センチの大望遠鏡を見に行く。
望遠鏡は、すでに50年を経過し、古くなっているものの、
堂々たる大きさである。
ここに多くの天文学者が訪れ、天文学史上に残る多くの発見がなされた。
その伝統を感じさせる。

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91センチ反射望遠鏡


この夜、91センチ望遠鏡で、木星を見せていただいた。
残念ながら、はっきりとは見えなかった。
もしかしたら、反射鏡の維持に十分な予算がとれず、
本来の性能を発揮できていないのかもしれない。


敷地内には、見学者用に45センチの反射望遠鏡も設置されている。
こちらの方は、口径は小さいものの、最新型の望遠鏡であるから、よく見える。
木星の縞々と、小さな渦になった部分まで、
はっきりと見ることができた。

45センチの見学者用望遠鏡担当の方は、とてもいい人で、私に、
「なにか、見てみたいもの、ありますか?」
と、リクエストを聞いてくれる。そこで、私は、
「こと座の環状星雲が見たいです。」
と言った。すると、
「M57ですね。いいですよ。」
と言って、パソコンの画面に「M57」と入力。
すると、望遠鏡はウィーンというモーター音とともに、
こと座の方角をむく。

すげえ。

で、320倍でこと座の環状星雲を見せてもらった。
子どもの頃、お年玉を貯めて買った8センチの望遠鏡で見たときよりも、
ずっとはっきりと、きれいに見えたので、私は感動した。

次々と人が集まってくる。
私は、もう55才だから、眼の水晶体が濁っており、
暗い光の色を感じることはできない。
だから、環状星雲の内部が青っぽいことは、わからなかった。
けれども、まだ、水晶体がきれいな子どもたちのなかには、
「まんなかが、青っぽいね。」
と言う子もいた。


で、みんなが見終わったあと、望遠鏡担当の人は、また私に、
「つぎは、なにを見ましょうか。」
と聞いてくださる。私は、
「ペガサス座の球状星団が見たいです。」
と言った。すると、
「M15ですね。いいですね。じゃ、M15はいりまーす。」
と言って、パソコンにM15と入力。

なんだか、カラオケ感覚である。(笑)

45センチ望遠鏡でみるM15球状星団も、おそろしくきれいであった。
私はつづいて、アンドロメダ座のM31大星雲、プレアデス星団(すばる)、
天王星などをリクエスト。
天王星は、本当に緑色っぽく、しかも丸く見えたので、
私はびっくりした。だが、他の見学者は、
「なんだか、暗くて、よく見えないね。」
とか言う。私は、
「すみません。いまひとつ、一般ウケしないものをリクエストしてしまって。」
と、望遠鏡担当の人に謝った。その人も苦笑していた。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
埼玉県ときがわ町にある堂平天文台では、
月に2回、星空観望会を開催しており、
口径91センチの望遠鏡で星空を見ることができる。
ご興味があれば、ぜひとも参加されてごらんになるといいだろう。
たまには、遠い宇宙に、思いをはせてみるのもいいと思われる。


ちなみに、いまは静かな天文ブームのようである。
堂平天文台は交通が不便、ていうか、とんでもない山奥にあるのだが、
この夜は、数十人もの見学者が来ていた。
東京都内で、観望会をやっている天文台というと、
国立天文台の三鷹サイトが有名であり、
口径50センチの社会教育用望遠鏡がある。
ここも、親切な係の方と、ボランティアの学生さんが案内してくださるので、
おすすめである。



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