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ツインエンジンの時代、来たる? [オートバイの話]

ガソリン価格が高いままである。これからの時代、ツインエンジン
が注目されるのではないか。





気筒数が多くなると、エンジンの回転は滑らかに、かつ、
出力が大きくなる。このことは、誰もが知っているだろう。

でも、なんで?

多気筒のエンジンは、複数のシリンダでタイミングをずらして
燃焼させることにより、回転を滑らかにする。また、爆発の
力を受けるピストン上面の面積を拡大することにより、
高出力化も実現できる。
さらには、同一排気量で多気筒化を進めると1気筒あたりの
ピストンなどを小さく軽くすることができ、高回転化にも
向いているのである。

けれども、いいことばかりではない。ピストンの数が増えると
ピストンが動く行程の面積も大きくなる。となると、摩擦(フリクションロス)
が大きくなり、燃費が悪くなるのだ。
以下の表は、1000CCのエンジンを例にとった場合の
気筒数ごとの、ピストンが動く行程の総面積である。
(条件を一定にするためにスクエア、つまりピストンの直径
と行程長を同じとした。)


 1000CCのエンジンにおけるピストンが動く行程の総面積
piston16c.gif
piston216.gif

非常に乱暴に言ってしまうと、4気筒エンジンは単気筒エンジン
の1.58倍、フリクションロスが大きく、そのぶん、燃費が悪くなる
とみることができるだろう。(摩擦係数を一定と仮定)

まあ、もちろんこれはひとつの目安であり、燃焼室の形状や
燃焼の効率によっても変わってくるけど。
あるいは、トランスミッションなどといった、パワートレイン系
の部品などにおけるロスなどもあるけれど、
いちばん大きく影響するのはフリクションロスだから、
ま、ひとつのめやすと考えてください。

それにしても、4気筒エンジンは単気筒エンジンの1.58倍
フリクションロスが大きいというのは、このガソリンが高い時代
においては、ちょっと効率が悪すぎるような気がする。
もう少し、気筒数を減らしてもいいのではないか、というのが
本日の記事のテーマである。


3気筒エンジンはどうよ?

3気筒のオートバイというと、言うまでもなくトライアンフ。
映画「マトリックス」にも出てきて、迫力の排気音を出していたな。
けれど、3気筒の1.44倍という数字はあまりにも中途半端だし、
2ストロークならいざしらず、4ストロークエンジンだと
独特の振動がある。やはり3気筒エンジンは、トライアンフの
アイデンティティということで、今後も同社にまかせよう。


2気筒エンジンは?

2気筒は、単気筒の1.26倍、フリクションロスが大きい。
けれども、そんなもんである。
それに単気筒だと、巨大なバランサーを装備しなければ
ならないから、速く走りようがないけれども、ツインなら交互に
爆発させればいいのだから、振動を相互に打ち消しあって
いい具合だし。
エンジンそのものも、4気筒に比べれば小さくできる。
ある意味、オートバイ用エンジンとしては理想的であるといえよう。

実際問題として、世界のオートバイを見わたしてみると、
長く作り続けられているオートバイのエンジンの多くはツインである。
ハーレー・ダヴィッドソンしかり。ドゥカティしかり。
MVアグスタ、モトグッチ、BMW、みんなツインである。
ハーレーは45度Vツイン、ドゥカは90度Lツイン、
MVアグスタとモトグッチは縦置きVツイン、
BMWはフラットツイン、という形の違いはあるけれど。
あ、最近、BMWはパラレルツインを出したんだっけ。

国産だと、ホンダはVツインが得意である。
BROS、シャドウ、トランザルプ、アフリカツインなど、
いわゆるNV系エンジン一族が有名であろう。
いまでも、NV系エンジンを使ったドゥービルというツアラーと
トランザルプ650が、欧州を中心に売られているし。
(日本国内では見たことがないけど...)

ヤマハは、伝統的にパラレルツインが得意なメーカーである。
現在だと、欧州を中心に売られているTDM900が代表的。
スズキには、SVシリーズがある。やはり輸出を中心に大きく
伸びている。
カワサキは......まあいいや。



以上のように、ツインエンジンのオートバイは長寿な機種が多いし、
欧州を中心に人気があるのである。

私自身の経験から言っても、
「長距離ツーリングに最適なオートバイとはなにか?」
と聞かれたら、迷うことなく、
「250CCのVツイン。」と答える。
ヤマハのSRV250なんか、思い出すなあ。

SRV250.jpg
SRV250  出所:ヤマハ発動機

あれ、ほんとにいいオートバイだったけどなあー。
なんで売れなかったんだろ。

私は33才のとき、再びオートバイに乗り始めたのだが、
そのときはGB250を買った。当時、SRV250は出ていなかったから。
けれども、あれがもし出ていたら、まちがいなく買っていたと思う。
SRV250は、燃費も1リッターあたり25~30キロメートルは走ったようだし。
GB250のリッターあたり35キロにはかなわないけど、
十分、いい数字である。

ホンダのNV系一族も、燃費はだいたい、ガソリン1リッターあたり
20~25キロメートルくらいである。400CCだと25~30キロくらい。
そう考えると、ツインエンジンのデメリットってなに?と思えてくるほどだ。
日本国内ユーザーのマルチ好きというのは、むしろ異常なのではないか。

ということで、本日の記事のまとめであるが、このガソリンが高い
ご時勢、もちょっと、ツインエンジンを見直してもいいんじゃない?
ということである。いつもそうだけど、非常にシンプルでしょ。
 
現実問題として、4気筒エンジンのパワーを100%引き出して
走っている人なんかいないし。私なんか、CB750の70馬力という
出力の10%も使っていないと思う。なんせ、原付にも抜かれる
んだから。(笑)
もちろん、余裕のあるトルクは、運転を飛躍的にラクにするから、
デメリットばかりではない。けど、できればもうちょっと燃費がいい
方がありがたい。

「やはりNV系エンジンのトランザルプ400に しておくんだったあぁぁぁー!Σ(T▽T ;)
 
と、少し後悔している、今日このごろである。


※リニューアル後、編集画面が変わりましたね。
 おおむね使いやすくなったと思うんですが、リッチテキストエディターと
 ふつうのエディターが、簡単に切り替わるといいですよねー。







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