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国道169号線は行き止まり国道にしてはどうか? [ひとりごと]

少し前の話であるが、奈良県の国道169号線で土砂崩れがあった。


国道169号線の崩落現場
出所:国土交通省
 
 
ニュースで盛んに報道されていたから、ご存じの方も多いと思うが
事故の現場はここである。


 

今回は、3人の方々が犠牲となった。お亡くなりになった。
方々のご冥福をお祈りするとともに、遺族の方々には
謹んでお悔やみを申し上げる。
 
私自身は、過去2回、オートバイでここを通っている。
まあ、こう言ってはなんだけど、本当にいつ崩れてもおかしく
ないようなところである。北山川により、深く削られた渓谷に
沿って登っていくのだけど、国道とは名ばかりの悪路であるし、
交通量はほとんどない。また、紀伊山地のこのあたりは
中央構造線に沿っているところで、地質はもろく、断層が
きわめて多いのである。2004年8月には、この少し東の
大塔村(おおとうむら)の国道168号線でも、大規模な土砂崩れ
があった。だから、この区間はお金をかけて修復しても、
いずれまた、崩れてしまうだろう。
 

国道168号線大塔村の崩落現場(2004年11月撮影)
撮影者 tak

 
 
そもそも、この区間って、本当に必要性があるのだろうか。
 
国道169号線が上北山村とか川上村の人々にとって
重要な生活道路であることは事実だろうけど、
上北山村の人々にとってみれば、日常の買い物はふつう
熊野市に出るだろうし、川上村の人々にとってみれば
吉野町か橿原市(かしはらし)に出るだろう。伯母峰峠(おばみねとうげ)
を越えて行き来する需要って、そんなに多くはないと思う。
だから、この峠の区間は閉鎖して、その維持にかかるコスト
を削減し、そのかわり、上北山村から熊野市、川上村から
吉野町に出る区間にコストをかけて、走りやすくした方が、
地元の人にとってみれば、便利なのではないかと思うのである。
 

つまり、行き止まり国道にしてしまうのである。
日本では、そういう国道は珍しいけれど、実際の需要を反映
させると、そういうかたちが自然になるのではないだろうか。

日本の国道は、偏執狂的にありとあらゆる線をつないでいる。
その結果、国道169号線のように、険しい地形の人里はなれた峠を
越える路線は数多い。そのほとんどは、一般的な技量のドライバー
とかライダーにとっては、通行が困難なところである。
紀伊半島の国道だと、国道425号線とか国道309号線の峠などが
そうである。四国だと国道439号線とか、九州だと国道265号線
なんかがそうである。私自身はオートバイで旅をするのが好きなので、
そういった道を走ってきたけれど、もう2度と行く気になんか、
なれないところばかりである。
そういう、多くの人にとっては全通している必要性がまったくない
国道って、全国に無数にある。そして、人里はなれた峠道こそが
危険なのであり、また、維持するのに大きなコストがかかるのである。

 
ネットワークをつくろうとしたら、最初はすべてのポイントを
最短距離で結ぼうとして、リング型のネットワークになる。
コンピュータでいうと、最初のネットワークであるトークンリング
が、その端的な例であった。すべての路線をとりあえずつないで
しまうという発想は、たしかに公平だけど効率的ではない。
次に、バックボーンとそれに対するアクセス、という形態に変わる。
コンピュータでいうと、初期のイーサネットとかFDDIなんかが
そうだ。道路でいうと高速道路とか幹線国道がバックボーンになり、
そこにたくさんの支線がアクセスするという形態になる。
最後には、いくつかのハブとそれを結ぶ幹線、ハブから支線へ
といったスター型のネットワークになる。現在の航空路線は
だいたいそんな形であるし、コンピュータでいうと、現在主流と
なっているスイッチを使ったイーサネットが、まさにそれである。
 
現在の道路網はリング型のネットワークからバックボーン型の
ネットワークに移行する過程であると思われる。そして、将来的には、
スター型のネットワークに移行するのだろう。
そのように考えると、すべての路線が全通している必要なんか、
まったくない。バックボーンあるいはハブへのアクセスがいい方が、
利用者にとっては、ずっと効率的なのである。
 

ということで、私は行き止まりの国道を増やして、幹線国道や
高速道路へのアクセスをよくする方が、ずっと利用者のニーズに
あっていると思うのである。今回、事故のあった国道169号線の
伯母峰峠区間は閉鎖して、行き止まり国道にした方がいいと
私は思うのである。
 



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