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格安高速バスに乗ってみた [旅情報]

ちょいと名古屋に行く用事があり、
その帰りに、格安の高速バス
(ささしまライブ→東京駅鍛冶橋駐車場 2,200円)
に乗ってみた。


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JAMJAMライナー(三菱ふそうエアロクイーン 観光バス仕様)


都市間を安く移動したいというニーズは、
旅人のあいだには、昔からある。
飛行機や新幹線のように、速くなくていい。
寝台列車のように、快適でなくてもいいから、
とにかく安く移動したい、というものである。

かつては、大垣夜行というものがあった。
東京駅を23:30に出発し、岐阜県の大垣に朝7時ごろ
到着するという列車である。
165系という急行型電車をつかってはいるものの、
4人がけのボックスシートは、普通列車となんら変わず、
居住性はよくなかった。けれども、私は大学時代、
この大垣夜行に数えきれないほど、乗ったことがある。

大垣夜行は、その後、「ムーンライトながら」に移行し、
2020年3月29日まで運行された。1968年から2020年まで、
50年以上も走り続けたのである。その理由はシンプルであり、
「ニーズがあったから」であろう。

ワイド周遊券があった頃には、夜行の急行列車にも
よく乗ったな。上野発の「八甲田」とか、
東京発の「高千穂・桜島」、大阪発の「きたぐに」など。
高千穂・桜島は、東京駅を朝10時に出て、
西鹿児島(現在の鹿児島中央駅)に、翌日の午前11時ごろに着く。
「24時間以上も列車に乗るのかよ!。」
と思われるかもしれないけれど、始発駅で席を確保さえすれば、
あとは座っているだけで、九州まで連れて行ってくれるのだから、
案外、ラクなのであった。

時代は変わって、いまはそういう列車はなくなってしまった。
その代わりという感じで登場してきたのが、高速バスである。

高速バスには、かつて、「高速路線バス」と「高速ツアーバス」の
2つに分かれていた。
高速路線バスとは、JRバスの東名ハイウェイバスのように、
ひとつひとつ、バス停にとまっていくもの、
高速ツアーバスは、Willerトラベルのように、
旅行会社が主催して乗客を募集するものであった。

現在は、法制度のうえで、両者に差はないらしい。
しかしながら、圧倒的に安いのは、高速ツアーバスの
流れをくむ会社である。



8月8日月曜日午後3時、私は名古屋のささしまライブ
という所にいた。
ささしまライブとは、貨物駅であった笹島駅を再開発した
ところで、名古屋に詳しい方であれば、誰もが知っていると思う。
感じとして、東京の汐留のビル街のようなところである。

午前中、栄(さかえ)で人に会ったあと、名古屋水族館に
寄ってから、ささしまライブに行った。

私は高速バスの乗り場を見つけることができずに、
ちょっと焦った。ささしまライブから出て行くのかな、
と思っていたのだが、実際には、乗り場はすこし離れていて、
名鉄とJRの高架下あたりにバス停があったのだ。
出発の20分ぐらい前にバス停にいくと、意外と沢山の人たち
が待っていた。

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ささしまライブ(名古屋南)バス停

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ささしまライブバス停地図


運行会社はJAMJAMライナーという会社である。
この時刻に名古屋を出て、夜9時すぎに東京に到着する
ということは、夜行バスの「送り込み」なのだと思う。

名古屋から東京間は、約350 km。
バスの燃費を1リットルあたり3kmと仮定すると、
軽油を120リットル くらい使うことになる。
現在、軽油は1 L あたり140円くらいだから、
燃料コストは約1万7,000円。
それに、名古屋~東京間の高速料金はだいたい2万円ぐらい。
運転手さんの人件費、車両の減価償却費などを含めると、
運行にかかるコストは、1回あたり5~6万円といったところか。

2,000円とか3,000円くらいの料金で、30人くらいの乗客を
乗せても、たいして儲からないと思う。
が、それでも回送で空気だけを運ぶよりは、よほどマシだから、
こういった価格設定にしているんだろうな。


午後4時、ささしまライブ(高架下)を出発。
バスは、三菱ふそうエアロクイーンの観光バス仕様で、
せまいけど、まあ、快適であった。
経路は、名古屋高速の名駅(めいえき)入り口から入って、
C1を通り、鶴舞南から3号を南下。伊勢湾岸道から新東名に入り、
東京まで行くというものであった。途中、新東名の浜松SA、
東名の海老名SAで休憩した。

最高速度は、かなり厳格に制限されているらしく、
新東名の120km/h区間のいちばん右側、つまり追い越し車線
を走っているときも、100km/hくらいしか出さなかった。
オートバイで走っていると、つい、130km/hくらい、
出してしまうところだけど。
結局、東京までほとんど起きていたけれど、
一度も、ひやっとすることはなかった。
ドライバーは、かなりの技量だと思う。

終点の鍛冶橋駐車場というところは、
JAMJAM、オリオン、さくら高速、Willerといった
格安高速バスのたまり場のようなところだった。
大阪、岡山、広島、高知といった行き先表示をつけた
バスが待っている。ターミナルはあまりきれいなところでは
ないけれど、コロコロという車輪のついたスーツケースを
持った、たくさんの若い旅人が集まっていた。

1980年代、はじめてアメリカに行ったとき、
グレイハウンドのバスターミナルに行ったけど、
あそこと似たような雰囲気があるな。

白人の若者、黒人のおばさん、あるいは私のような
アジア系の旅行者。いろんな人がバスを待っていた。
運賃は、ロサンゼルスからサンフランシスコまで
40ドルくらいと格安だった。
ロサンゼルスのグレイハウンドターミナルは、
決して治安がいいところではなかったけど、
これから長距離の旅に出るという期待で
雰囲気はあかるく、なんだか活気があったな。

いまも昔も、都市間を安く移動したいというニーズはある。
それは、案外、旅の原点なのかもしれない。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
格安の高速バスは、わりと快適である。
それだけ。


ま、自分でクルマやオートバイを運転するよりも、
高速バスを使ったほうが、ずっとラクだね。
雨のなか、オートバイで高速道路を走ったりすると、
泣きたくなってくるもんな。
けれど、高速バスだと、ぜんぜんそんなことはない。
自分はなにもしないのに、勝手に目的地まで運んでくれる。
しかも、格安の料金で。

こんなうまい話はないね。

年金生活に入って、あまり、ぜいたくはできなくなった。
けど、時間だけはある。
これからは、高速バスを活用した旅もしていきたいね。


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