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玄倉(くろくら)ダム・熊木ダム [ダムカード]

丹沢の玄倉ダム・熊木ダムのダムカードをゲットした。

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玄倉ダムのダムカード

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熊木ダムのダムカード


5月4日の記事で、私は「東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県
のダムカードをすべて集める」という目標を設定した。
この1都3県にあるダムのうち、もっとも行くことが困難なのは、
丹沢にある玄倉ダムと熊木ダムであろう。

なんたって、歩いていくしかないんだから。www

玄倉林道の入り口から、熊木ダムまでは約11km。
標高差は約450メートルある。所要時間は3時間ほど。
けっこう、きついよね。
林道をずっと歩いて行けばいいので、登山の技術や装備が
要求されるわけではない。それでも行くのが困難なダムである
ことには変わりはない。

ダムカードを集める人のために、いちおう、救済措置が
とられており、管理者である神奈川県のホームページには、

「ダムカードの配布に当たり、必ずしもダムを
訪問していただく必要はございません。以下の
企業庁関連施設のいずれかに訪問いただいた方に
ダムカードをお一人様1セット(2種類各1枚)
配布いたします。」


と掲載されている。そして、関連施設として、玄倉第1発電所、
玄倉ダム、玄倉第2発電所、熊木ダムの名があげられている。
つまり、林道の入り口のところにある玄倉第1発電所に行きさえ
すれば、玄倉ダム、熊木ダムのダムカードをあげますよ、と。
要するに、そういうことである。

玄倉ダム・熊木ダムカードの配布方法
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f8018/p1077131.html
リンク先:神奈川県


なんとなく、釈然としない。
ダムカードは現地に行った人に一人一枚配布する、という、
厳格なルールがあるのである。であるにもかかわらず、
行かなくてもいいよ、と言われると、なんだかズルをしている
ような感じである。
私はバカであるが、バカにはバカの美学がある。
やはり、なんとしても、熊木ダムまで行かないといけない。

kurokura2.gif 玄倉ダム・熊木ダムまでの道


地理院地図

玄倉ダム・熊木ダム周辺の地形図




2017年5月24日午前6時35分、私は丹沢湖ビジターセンターにいた。
ここまでオートバイで来たけれど、ライディングブーツでは
歩きにくいので、トレッキングシューズに履き替える。
ついでに軽登山用の服装に着替えた。
それと、これは山に詳しいmicyuさんに教わったのだが、
丹沢はヤマビルが多いので、スパッツで足首を覆い、
肌を露出しないようにする。ヘルメット、ブーツなどの荷物は、
リアボックスに入れて、カギをかけておいた。
午前6時55分、歩き始める。

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丹沢湖ビジターセンターにて(ライディングウェアバージョン)

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丹沢湖ビジターセンターにて(軽登山バージョン)


玄倉林道は、1997年10月にオートバイで走ったことがある。
当時は、とても景色がよく、水がきれいであった。
もう、20年も昔の話である。
現在はというと、そのときにくらべて、若干、水の透明度が
おちたような気がする。もっとも、川の水の透明度は、
雨が降れば一発で変わってしまうから、いちど来たことが
あるくらいでは、なんともいえないけれど。
午前7時10分、玄倉第一発電所に到着。
ダムカードをもらうための証拠写真を撮る。

午前8時20分、まだ新しい新青崩隧道(しんあおざれずいどう)に着く。
もとの青崩隧道は、素掘りのトンネルで、途中の壁に穴が開いていた。
そこから下をのぞくと、深い谷底が見えた。
おもしろいところだったけれど、現在は崩落の恐れがあるので閉鎖され、
新しいトンネルにつけかえられている。
新青崩隧道は、327メートルという短いトンネルだけど、
途中でカーブしているので出口が見えず、なかは真っ暗である。
ヘッドライトを点灯して通過する。

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新青崩隧道

午前8時40分、玄倉ダムに着いた。
20年前に来たときには、ダム湖は透明な水をたたえ、
浅いところはターコイズ、深いところは群青(ぐんじょう)色
であった。このあたり、ユーシン渓谷ということから、
「ユーシンブルー」というのだそうだ。
けれども、今日はダムの水が抜かれており、ターコイズのみ
であった。少し残念である。
ユーシン渓谷は新緑におおわれ、流れる水はきれいだった。

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玄倉ダムの水の色

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新緑のユーシン渓谷


さらに歩くと、山小屋であるユーシンロッジへの分岐がある。
ユーシンロッジは、現在は閉鎖されている。
また、20年前の話になるが、当時のユーシンロッジは
年配の女性が管理していた。私がオートバイで行ったとき、
宿泊客でもなんでもないのに、
「お茶でも飲んで行きなさい。」
と言われた。そして、少しのあいだ、お茶を飲みながら
話をした。他に宿泊客はいなかったので、まあ、ヒマだった
のかもしれないが、とても親切な方であった。

「もうすぐ、紅葉がすごくきれいになるから。
その頃に、また来るといいわ。いちおう、
バイクは林道を通行禁止だけど、それについては、
おばちゃん、なにも言えないから。(笑)」
と言われた。

この女性の言うとおりであり、当時から玄倉林道は
一般車は通行禁止なのであった。玄倉集落から3kmくらい
のところにゲートがあり、そこから先は、本当は入っては
いけなかったのである。
けれど、そのゲートはいつも開いていた。ということで、
クルマもオートバイも勝手にはいっていた。
要するに、黙認状態なのであった。

当時から、一般車通行禁止というタテマエの林道は多かった。
けれども、その実態は玄倉林道のように、多くは一般車の通行
について黙認状態であった。林野庁の管轄であるとはいえ、
いちおう、税金を使って建設しているわけだから、道路管理者
としても、一般のクルマやオートバイに対して、あからさまに
「通るな!」とは言いづらいという事情があったのである。
そういうわけで、オフロード車を使って林道ツーリングをする
オートバイ乗りは多かったし、私も250CCのオートバイに乗っていた
ときには、よくひとりで林道に入って、キャンプをしたものである。

現在は、ほとんどの林道は閉鎖されている。登山者のなかには、
いまだに、
「われわれの税金を使って建設した林道を、勝手に閉鎖する
とは、けしからん。」
と言って、ゲートのカギを壊して侵入する人がいるらしいが、
もともと、そういった理屈はおかしいのである。
その理屈が通るならば、自衛隊の基地も税金でつくったものだから、
一般の人が勝手に入ってもいい、ということになる。

林道が通行禁止になったのは、バカでかい四輪駆動車で
林道にはいる人が増えたものだから、路面が荒らされ、
また、通行の障害となり、仕事の邪魔になるから、
道路管理者に締め出された、というだけのハナシである。

ユーシンロッジから先は、私にとっては、はじめて通る道である。
ここから先は、20年以上前からゲートで厳重に閉鎖されており、
通ることができなかった。
ゲートの脇を通ると、道幅は一段と細くなり続いていた。
2kmほど行ったところに、小さな素掘りのトンネルがあり、
それを抜けると熊木ダムであった。
午前10時05分、到着。

途中、写真を撮ったり、休憩したりしながら来たので、
所要時間は3時間10分であった。
熊木ダムは立ち入り禁止であった。看板の前で証拠写真を撮る。

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素掘りのトンネル

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熊木ダムにて


熊木ダムの水は、玄倉ダムよりも、一段と澄んでいた。
玄倉ダムがユーシンブルーなら、熊木ダムは“熊木グリーン”
ともいうべき色であった。

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熊木ダムの水の色(熊木グリーン)

軽く食事をして、休憩することにより、血糖値を上げる。
10時40分出発。帰りは下りだったので、楽勝であった。
13時15分、丹沢湖ビジターセンターに到着。
帰りの所要時間は、2時間35分であった。

疲れていたけど、これからダムカードをもらいに
行かなければならない。丹沢湖の三保ダムの近くにある
ダム管理事務所に行く。
2Fにある事務所に行くと、みんな仕事をしていた。
いちばん近くにいる女性職員に声をかける。

私   「あのう、恐れ入りますが。」
女性職員「なんでしょうか。」
私   「ダムカードをいただきたいのですが。」


内心、やれやれ、また変人が来たわ、と思ったことだろう。
すこし顔に出ていたな。(笑)

女性職員「三保ダムだけでいいですか。」
私   「あ、いえ。熊木ダムまで、行ってまいりましたので、
     玄倉ダムと熊木ダムのカードもください。」


そう言いながら、熊木ダムの看板の前で撮った画像を見せる。
女性職員は、えっ、という顔をして、写真を確認した。
内心、おやおや、これは本格的な変人だわ、と思ったことだろう。
あきらかに顔に出ていたな。(笑)

女性職員は、私に熊木ダムと玄倉ダムのカードを手渡すと
「ごくろうさまでした。」と言った。
一般社会では、こういう場合は、おつかれさまでした、である。
ごくろうさまは、上からのもの言いなので、最近では、
私ら年配の者が、若い人をねぎらう場合でも使ってはならない、
とされている。
けれども、公務員の世界では、いまでもよく使われているようだ。
そこは理解しなければならない。私は、
「お仕事中、お手を煩わせて、申し訳ありませんでした。」
と、詫びとも礼ともつかない返事をした。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
丹沢の玄倉ダム、熊木ダムのダムカードは、わざわざ行かなくても
手に入れることができる。けれども、途中のユーシン渓谷は美しいし、
ユーシンブルー、熊木グリーンといった水の色を見ることができる。
片道約11キロメートルの軽いハイキングであるので、行ってみるのも
いいかもしれない。


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