SSブログ

知床フレベの滝は外国人だらけだった [旅情報]

知床フレベの滝までのトレッキングコースを
歩いてみたのだが。


流氷が接岸するのを待っているあいだ、ヒマだったので、
知床自然センターに行ってみた。
とくになんの目的もなかったのだが、
入り口のところに、

 フレベの滝までのトレッキングコース
 所要時間 約1時間(往復)
 スノーシュー、ブーツ貸します


といった内容のことが書いてあった。
私はフレベの滝に、夏に1度だけ、行ったことがある。
けれど、冬には行ったことがない。
現在は、部分的に結氷しているという。
おもしろそうだな、と思った。

カウンターに申し出ると、女性職員が対応してくださり、
「今日は、スノーシューは必要ないです。
ブーツだけで十分ですよ。」と言われた。
ということで、ブーツだけ借りた。500円であった。

boot.jpg
知床自然センターで借りたブーツ 500円

 知床自然センター  http://center.shiretoko.or.jp/


スマホのGPS機能をONにして、歩きはじめる。
万一、道に迷ったら、記録されたトラックをたどれば
もとの場所に戻ってくることができるから。
知っている道とはいえ、雪が積もった状態で歩くのは
はじめてだし、急に吹雪いて、視界が悪くなったら
終わりだから。
私は臆病なのである。
幸い天気はよく、展望台までの道は、問題なく、
歩くことができた。


結氷したフレベの滝は、なかなかのものだった。
氷が水色に輝き、きれいである。
海には、濃紺の水に真っ白な流氷が浮き、幾何学的な
模様が描かれていた。私は、来てよかったな、と思った。

furebe.jpg

furebe2.jpg
フレベの滝展望台より


ふと見ると、オジロワシが上昇気流にのって、飛んでいた。
ほんの2時間ほど前、地元の人に教わるまでは、
私はしっぽの白いトンビだと思っていたのだが。
思わず、先に展望台に来ていたご夫婦に、
「おーっ、オジロワシですよー。」
と声をかけた。

すると、返事がない。
あれっ、と思って、ご夫婦を見ると、片手を振って
言葉がわからない、という手振りをする。
見ためは日本人と変わらないので、わからなかったのだが
外国人だったのである。

「あー・・・、ザット・イズ・ア・ホワイトテールイーグル、ね。」
と言うと、オー!とかなんとか言って、何度も頷いた。

すこし話してみると、タイから来たご夫婦だそうで、
わざわざ、知床まで、雪を見に来たのだそうだ。
私   「ほー、それはそれは。」
タイ夫婦「写真を撮ってくれませんか。」
私   「もちろん、いいですよ。」
ということで、フレベの滝が入るアングルで3枚撮って、
モニターを見せた。

私   「これでいいですか。」
タイ夫婦「とてもいいです。どうもありがとう。」
私   「それを言わないでください。どういたしまして。」
タイ夫婦「きれいですね。」
私   「ええ、きれいですね。でも、ちょっと寒いですけど。」
と答えると、奥さんが、くくく、と笑った。

タイ夫婦「どっちの方から来ましたか。」
私   「東京からです。」
タイ夫婦「いや、そうじゃなくて。どこから歩き始めましたか。」
私   「あー、知床ビジターセンター? からです。」
タイ夫婦「知床自然センターですね。私たちは、いまからそこに
     戻るんですけど、スノーシューなしで歩けますか。
     灯台をまわってきたのですが、ちょっと苦労した
     ものですから。」
私   「ああ、問題ないです。私は知床自然センターから、
     これで来ましたから。」
と言って、レンタルされたブーツを指差すと、安心したようだった。

タイ夫婦「じゃ、いい旅を。」
私   「どうもありがとう。あなたがたも。」
と言って、わかれた。



私は外国人と話すと、緊張して、脇の下にびっしょり汗をかく。
ほっとして、ふたたび、フレベの滝を見る。
ベンチにすわって、ボーッとしていると、
中国語を話す、さわがしい年配の女性グループが来た。
展望台に登ってきて、私を見て滝を指差しながら、
ハオハオ、ハオハオとか言っている。
私は「ニーハオ」と言って、ちょっとひきつりながら、
にっこり笑った。

おお、日本人だ、日本人がいるぞ、という感じで、みんなに
いろんなことを聞かれた。一人、英語が達者な人がいたので、
なんとか、コミュニケーションをとることができた。
どこから来たのか、どうやって来たのか、とか、
知床までなにをしに来たのか、とか、ひととおり聞かれた。

私も、みなさんはどこから、どうやってここまで来たのですか、
と尋ねてみた。すると、一昨日、北京から東京に着いて、
昨日、札幌に移動した。そこからバスに乗って、ここまで来たのだ、
とかいう。すごいスケジュールだ。
しかも、このあと京都に行くという。日本には、7日間、滞在する
ということだった。
「東京、札幌、京都の3都市周遊と世界遺産知床で流氷を見る7日間の旅」
みたいなツアーなのだろうな。なんだか、おそろしく
エネルギッシュである。

集団から、ようやく解放されると、マンフロットの三脚
を立てて、ニコンのD5で滝を撮っていた女性が、
私に英語で話しかけてきた。

女性「樹氷がない。いつ、樹氷をみることができるか。」
私 「樹氷ですか。今日は、暖かいですから無理ですね。
   残念ですけど。」
女性「夜に来れば、樹氷をみることができるか。」
私 「夜にここに来るのですか? 天気がよければ
   いいですけど、霧になったり吹雪いたりしたら、
   危険だと思いますよ。」
女性「そうですか...。」

その女性は、なんだかグループから、すこし浮いている
感じだった。そんな話をしていると、ガイドらしい男性が
苦笑しながら、私に会釈した。



中国人の女性グループと別れて、知床自然センターに帰る。
途中、エゾシカを見た。モモンガは見ることができなかった。
知床自然センターに向かう坂をのぼっていると、
スノーシューをはいた一団が、広東語を話しながら
降りてきた。
日本人は、おらんのかい!
結局、フレベの滝までの往復で、私は日本人とは
ひとりも出会わなかった。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
冬の知床、フレベの滝までのトレッキングコースは、
大勢の外国人が訪ねてくる。おそろしくエネルギッシュな
人たちで、話しているとおもしろいけど、
ちょっと騒がしいので、静かに過ごしたい方にとっては、
注意が必要である。


共通テーマ:旅行