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マイナス15℃のなか車中泊をしてみた 1 [旅情報]

北海道で、マイナス15℃のなか、車中泊をしてみた。


2017年2月5日午後7時30分、苫小牧フェリーターミナルに
着いた私は、網走をめざして走り始めた。
出発するまえ、ネットにより、流氷が網走に接岸している
という情報は得ていた。それゆえ、私はできるだけ早く、
網走に着きたかった。流氷は、風向きや海流により、
簡単に流され、岸から離れてしまうからである。
ということで、苫小牧から網走までの370kmを、
途中、どこかで車中泊をして、仮眠をとりながら、
ぶっとおしで走ろうと思っていた。

けれども、出発前に、さすがの私も考えた。
厳冬期の北海道で車中泊をすることは、可能なのだろうか。
外気温は、マイナス5℃から10℃くらいまで下がるはずである。
テント泊ではなく、車中泊とはいえ、大丈夫なのだろうか。

私は、大学時代からの付き合いである、
山に詳しい友人に相談した。
すると、いきなり、
「ばかやろう。」
と言われた。
「北海道、なめてんのか。」
って、おまえ、埼玉出身じゃん。

こいつには、北岳に登ったときも相談したのだけど、
やはり、「ばかやろう。山、なめてんのか。」と言われた。
どうも、こいつは自分と意見が異なるやつが、みんな、
バカに見えるらしい。

彼は、毎年、東大に何十人も入る名門高校の出身である。
ま、彼にくらべれば、私はたしかにバカだし、
なーんのとりえもない人間である。
そもそも、私と彼が同じ大学の同じ学部にいるのは
不思議なくらいであった。ということで、私は在学中から、
彼には、まったくアタマが上がらなかった。
その人間関係は、卒業して40年ちかく経過した現在もなお、
継続中なのである。www

けれども、いきなりばかやろう、と言われて、さすがにカチンときた。
意地でも、厳冬期の北海道での車中泊を成功させてやる!



電話をきって、早速、考えてみる。
車中泊の条件として、エンジンは切り、ヒーターはかけない
こととする。夏だと、窓をすこし開けた状態で寝るけれど、
厳冬期ということで、なるべく窓を閉め切った状態にしたい。

それと、今回は暖房として、使い捨てのカイロを使おうと思う。
シュラフとエアマットレスのあいだに、10コくらい、
貼り付けよう。
使い捨てカイロの出す熱は、167,500ジュール。
つまり、約40キロカロリーで、電気に換算すると、
だいたい1コで5Wくらい。10コで50W。
ということで、電気毛布くらいの熱が出るね。

それで、酸素は足りるのか。

計算してみた。
デミオの場合、室内長は1.8メートル、室内幅が1.4メートル、
室内高が1.3メートルである。そこに入っている空気の量は
だいたい3.3立法メートル。つまり、約3,300リットル。
酸素の量は1/5だから、約660リットルとなる。

人間が消費する酸素の量は、安静にしているときで、
1時間に約100リットルである。
つぎに、使い捨てのカイロであるが、鉄が酸化する
ときに発生する熱を利用するものであるから、
大量の酸素を消費する。調べてみると、40gのカイロで
1時間に約1リットルの酸素を消費するという。
カイロを10コ使うとなると、だいたい、
1時間に約10リットルとなるね。

つまり、乗用車の窓を閉め切った状態で、人がひとり寝て、
なおかつ、使い捨てのカイロを10コ使っていると、
 660÷(100+10)= 6
つまり、6時間くらいで酸欠になって死ぬ。


ということで、4つある窓の1つを、5ミリくらいあけて、
換気をすることにする。外の風の状況にもよるけれど、
空気の量は、それで十分だろう。


つぎは寝具である。
私のシュラフは、モンベルのバロウバッグ#4。
カタログスペックでは、使用可能限界温度-6℃
となっている。が、それは、山でもやっている人が死なない、
という意味であり、ふつうの人にとっては、5℃以下だと、
よゆーで寒い

そこで、シュラフのなかにイスカのシュラフインナーを入れ、
カインズホームで買ってきたマイクロフリースの毛布(780円)
を2枚かける。さらに、その上に、いつも使っている
掛け布団をかけることにした。
これで寒いようだったら、あきらめてエンジンをかけ、
ヒーターを入れよう。

2017年2月5日午後11時。
道の駅当麻(とうま)に着いた私は、車中泊の準備をはじめた。
(つづく)



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