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札幌~青森自転車ツーリング その2 [日本海岸自転車の旅]

札幌から青森まで、自転車で走った。その1からのつづき。


3日め 蘭越町(らんこしちょう)
~瀬棚町(せたなちょう) 約123km


北海道の朝は、はやい。
東京よりも高緯度であるうえ、経度もやや東にあるから。
夏至にちかいこの時期だと、午前3時すぎには、
もう、空があかるくなってくる。

昨夜は道の駅「シェルプラザ・港」の駐車場で
テントを張って寝た。北海道では、こういった人里はなれた
ところにある道の駅とか、キャンプ場、あるいは
北海道開発局が国道沿いに設置したパーキングスペースが
たくさんあるから、テントを張って寝る場所にはことかかない。

問題はクマである。
道南でも日本海がわは、非常にクマの多いところで、
渓流釣りや山菜採りに山に入った人が、よくクマに
襲われている。クマは、しばしば人の住んでいる近くにも
出現するから、要注意である。

シェルプラザ・港も、ちょっとやばそうだな、と思ったけど、
まあ、クマが出たらそのときはそのときである。
物置きのような小屋の裏に、テントを張って寝てしまった。
自転車で130km以上走ったあとだったので、
朝までぐっすりであった。

shell.jpg
道の駅 シェルプラザ・港にて


テントを片付けて、朝食にする。
すると、前の日に朝食のため買っておいたあんパンと
ソフトカツゲンのうち、あんパンがなくなっていた。
おかしいな、と思って、ふと見上げるとカラスがいた。
じっと見つめると、カラスは、ぷいっと目をそらした。

カラスに朝食を持っていかれてしまったので、
食料が調達できるまで、携帯食のキャンディのみ
で走らなければならない。スマホで調べてみると、
つぎのセイコーマートまで、約14kmである。

午前6時に出発。
すぐにハンガーノック(空腹のため、低血糖状態になること)
してしまった。時速10kmくらいで、ゆっくりと走る。
1時間くらいかかってセイコーマートに着いたときには、
店が輝いて見えた。


道路には、ところどころにウニの殻が落ちている。
「いったい、なんでだろう?」と思っていたのだが、
新しいウニの横に、カラスがいる。
見ていると、クルマがやってきて、ウニを踏みつぶした。
するとカラスは、やった、やった!、という感じで
道路に降りてきて、ウニの内蔵を食べている。

さすがにカラスは、頭がいい。
直江津では、同じようにして、クルミの殻を割って
食べているのを目撃したけれど、北海道ではウニである。
痛風にならなければいいけどな。

北海道のカラスには、こうやって自分で食糧を採っている
自活派と、旅人から食糧を奪う泥棒派がいるのかもしれない。
けれども、自活派はやはり危険がともなうようで、
クルマに轢かれて道端で死んでいるカラスもいた。

道の駅みなとまーれ寿都(すっつ)で休憩する。
ベンチにすわって、カロリーメイトを食べていると
カラスがやってきた。白いまぶたをパチパチさせながら、
こっちを見ている。

仕方がない。
私はカロリーメイトのかけらを投げてやった。
すると、カラスはバスケットボールのサイドステップ
のような感じで近寄ってきて、カロリーメイトの
かけらを食べた。
なおも、カラスは白いまぶたをパチパチさせながら、
こっちを見ている。私は、もう一度、カロリーメイト
のかけらを投げてやった。
カラスはずる賢いという印象をもつ人が多いけど、
意外と人なつこくて、かわいい鳥である。

そうやって、カラスと遊んでいると、デジタル一眼を
持った若い人がやってきた。その人がレンズを向けると、
カラスは、「おっ、なんだなんだ。」という感じで、
すこしはなれたところに逃げてしまった。
その人は、なおもカメラを構えている。

私は、「呼びましょうか?」と言って、
カロリーメイトのかけらを少し離れたところに置く。
カラスは、またサイドステップのような感じで
近寄ってきて、かけらを食べた。
その人は何枚か写真を撮って、私に礼を言うことなく、
無言のまま、行ってしまった。


寿都を出て、日本海に沿って走る。
島牧(しままき)を過ぎると、
ふたたび、長いトンネルが続く区間となった。
瀬棚(せたな)に着く。
ここで、道は2つに分かれる。
国道229号線で山越えをするか、
北海道道740号線で海岸沿いに行くか。

海岸沿いに日本一周をするというテーマからすると、
北海道道740号線を行くべきである。
この道は長年にわたり、行きどまりであったが、
2013年4月に日昼部トンネル(にっちゅうべトンネル
1,161メートル)と太田トンネル(3,360メートル)が
完成したことにより、全線開通している。

しかしながら、国道229号線の全線走破も捨てがたい。
このまま江差(えさし)まで走れば、余市からの全線286km
を自転車で完全走破することができる。
正直いって、迷った。
結局、私は国道229号線で山越えをすることにした。
頂上にあるトンネル(標高約200メートル)まで、
ずっと登りであった。
「やはり、海沿いに行けばよかったな。」
と後悔した。

トンネルを越えると、一気に下りであった。
下りきったところにセイコーマートがあった。
晩ご飯の幕の内弁当とソフトカツゲンを買って、
道の駅「てっくいランド大成」に行く。
地図によると、キャンプ場があるはずなのだが、
そんなものはなかった。面倒くさいので、物置の裏の
芝生のところにテントを張って、寝てしまった。
(つづく)


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