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胸部プロテクターを約300円で自作した [オートバイの話]

プロテクターというオートバイ用品があるけれど。


protecter1.jpg
自作した胸部プロテクターとジャケットに入れるための袋状パーツ


オートバイ事故の際、胸部などを防護するプロテクターという
用品がある。が、こういってはなんだけど、ほとんど普及していない。
着用率はわずか6.5%にとどまるということだ。

実際問題、効果はあるのか。

下のグラフは、警察庁が調べたデータである。

protect.gif
バイク死亡事故における主な損傷部位別死者の割合 (2012年)   出所:警察庁


「全損」という項目があるのに、少々ビビるが、
とにかく、二輪の死亡事故の原因として、
胸部の損傷は、頭部に次いで多いようだ。
たしかに、プロテクターを付けるに、こしたことはないようだね。
そこで、オートバイ用品屋さんに行って、プロテクターなる商品
を見てみた。
安いもので5000円くらい
高いものになると、2万円以上だね。

うーむ。

こんなもんに5000円も出す気には、とてもなれない。
そこで自作することにした。
いつものようにカインズホームへ。

素材コーナーをくまなくまわって、
発泡ポリエチレン板(10ミリ厚)というものを見つけた。
約200円。
これを切って、プロテクターの緩衝材として使うことにする。

で、どうやって、ライディングジャケットに取り付けるか。
これは簡単であり、肩パッド、肘パッド、背中パッドと同様、
袋のようなパーツをつくって、その中に入れればいい。
イオンの手芸コーナーに行って、裏地のはぎれを105円で購入。
ミシンで袋状の部品をつくって、ジャケットの胸部に
手縫いで取り付けた。

プロテクターの形状であるが、市販の製品は通気性を考え、
穴があいている。それを参考にして、私も穴をあけたけど、
まあ、こんなもん、なくてもいいかもしれないな。

市販のプロテクターは、プラスチック、もしくはCFRP
(Carbon Fiber Reinforced Plastic=カーボン)の板で補強してある。
が、素人が安易にマネをすると、からだに刺さる恐れもあるよね。
やめておいた方が無難であろう。
ということで完成したのが、いちばん上の写真である。

じつは、これをつくったのは、約1年前。
幸い、実際にこれが効果を発揮するような事故には、
一度も遭わなかったけど、付けていて邪魔に感じたことはない。
けど、市販のプロテクターとほぼ同等の性能はあると思う。
そこで、今回、記事にしてみた。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
胸部プロテクターは、効果的であることはわかるものの、
きわめて高価である。そこで、発泡ポリエチレン板を
加工することにより、約300円で市販の製品とほぼ同等
の性能を持つプロテクターを自作した。
参考にしていただければ幸いである。
いつものように決まり文句であるが。

※この記事を参考にして、プロテクターを自作したことにより
 読者が不利益(ケガ、死亡など)を被っても、takは一切の
 責任を負いません。



それにしても、胸部プロテクターが効果を発揮するケースって、
いったい、どういう状況なのだろうか。
まずは、クルマの車体に強打されるケースを考えてみる。
状況にもよるけれど、時速60kmで正面衝突をした場合、
20~30Gの衝撃である。そんなもん、プロテクターを
つけていたところで、まったく意味はない。
「全損」で即死だろうね。

つぎに考えられるのは、前方に放り出されて、
路面にたたきつけられるケース。
これも、時速60kmの場合、10~20Gの衝撃がかかる。
プロテクターをつけていたとしても、まあ、死ぬだろうね。

そう考えると、プロテクターが効果を発揮するケースってのは、
かなり小さな衝撃であり、ごく軽微な事故だろう。
いずれにしても、「オートバイで重大な事故を起こしても、
プロテクターを着用していれば助かるかも...」なんてのは、
楽観的にすぎる考え方である。そういった意味では、
プロテクターなんて気休めにすぎないから。
常に安全運転をするべきなのは、言うまでもないね。

とはいえ、むき出しなのか、そうでないのかで、
ずいぶんと結果が違ってくる場合もある。
私自身の経験では、対向車線を走っていたダンプが落とした
コブシ大の石が、右脚のすねを直撃したことがあった。
けれど、ブーツをはいていたので、青あざですんだ。
ラッキーであった。
むき出しだったら、骨折はまぬがれなかっただろうね。

そういった意味では、たとえ10ミリの発泡ポリエチレン板
であっても、身につけてさえいれば、結果がずいぶんと
違ってくる場合もあると思われる。とりわけ、重量が小さな物体が
高速でぶつかってくる場合などでは、効果が大きいだろう。

けれども、胸部に自分の体重がかかって圧迫されるような
状況だと、プロテクターなんて、ほとんど意味はないだろうね。
メーカーにおけるオートバイ用エアバッグシステムの開発が
待たれるところである。



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