SSブログ

50才をすぎているのに、外車も買えないの? [オートバイの話]

先日の記事に対して、
「50才をすぎているのに、外車も買えないのかよ!(藁)」
というお便りをいただいてしまった。



はい。私らの年代の者は、そんなもん、
とても買えましぇん。

(^^;


以下のグラフは、総務省がまとめたデータで、
人生のステージごとの家計支出の内訳である。
矢印の部分に注目していただきたい。
このデータによると、第3ステージ(夫婦と子どもが二人の世帯で、
長子が大学生)の教養娯楽にかける支出は、あらゆるステージ
のなかで最低である。
逆に、最も多いのが子どもの教育費であり、支出全体のじつに
30%近くを占めているのである。


出所:総務省統計局

graph2.gif



私の家族構成は、現在、上の子が大学院生、下の子が大学生であり、
いってみれば、第3ステージの後期。
いまは子どもの教育に、もっともお金がかかる時期なのである。
当然のことながら、教養娯楽になんて、あまりお金がかけられない。
夫の趣味にかけるお金なんて、家計のなかで、いちばん最初に削減される出費である。
だから、オートバイに200万円なんて、とてもではないけど、無理無理。
そんなもん、買えませんわ。(笑)



けれども、いまは中高年において、空前のオートバイブーム。
外国産の高級オートバイが、バンバン売れているではないか。

いったい、どんな中高年が、そんな高価な
外国産オートバイを買っているというのか。


じつは、このブームを担っているのは、私たちよりも、ちょっと上の世代。
そう。1学年の人数が、私たちの世代の1.5倍近くいて、
いま、まさに定年を迎えようとしている、
いわゆる団塊の世代である。

現在の彼らは、子どもたちも、だいたい25才以上になっていて、
手がはなれている。ということで、可処分所得は、あらゆる世代のなかで最大。
上のグラフでいうと、第4ステージであり、教養娯楽に、最も多くのお金を
かけられる世代なのである。
すでに退職金をもらった人もいて、あと数年で年金ももらえる。
いってみれば、人生スゴロクの上がりに近づいているんだもんな。

外国産オートバイだけではない。
いま、フェンダーのストラトキャスターとか、マーチン、ギブソンの
ギターなんぞがよく売れている。そういうのを買うのも、団塊の世代。
あるいはポルシェとか、GTRとか、変わったところでは英会話の教材とか...。

キーワードは、「若い頃の憧れ」。

団塊の世代にとって、若い時に欲しくて欲しくてたまらなかった商品が、
いま、やっと、手に届くところにあるのである。
そのひとつが、外国産オートバイというわけ。

ここ数年、“子育てを終えた団塊の世代”をターゲットとした商品が
すごく増えている。団塊の世代のもらう退職金の総額は80兆円くらいと
試算されていて、みんなが、これをねらっているのである。
まるでハイエナとかハゲタカのようだけど、
まあ、ビジネスの世界っていうのは、いつだって、そんなもんである。


でも、その需要も、そろそろ一巡。

外国産オートバイメーカーとしても、団塊の世代が本当にリタイアする2~3年後には、
現在のブームが去って、市場が激減することは、すでにわかっているのである。
ということで、より若い世代に、ターゲットを移行せざるを得ない。
イメージとしては、30代から40代前半くらいの女性。
子どもがいないか、あるいは、いてもひとりだけ、というプロフィールの消費者で、
経済的にはともかく、時間的には余裕がある。
少子化により、そういう人って、すごく増えているのである。
で、そういった人たちにとって払える額というと、だいたい月々2万円くらいまで。

だから、150回ローンなのである。

そういった意味では、最近の外国産オートバイメーカーのマーケティングって、
冴えわたっているよなー。(笑)


ところで、団塊の世代のすぐ下というと、私たちの世代であるけど、
なぜ、私たちの世代は、ターゲットにならないのか。

ずばり、ケチだから。(笑)

私たちの世代は、いつも、享楽的で移り気な団塊の世代がしでかしてきた
不始末の後片付けをおしつけられ、いじめられてきた世代なのである。
自然と計画的になるし、将来に対して、あまり楽観的にはなれない。

そんなやつらが、外国産オートバイなんか、
買うわけないじゃん。(笑)


そのあたりは、外国産オートバイメーカーにしっかりと見透かされている。
だから、私たちの世代はスルーして、より若い世代にターゲットを移したのだろう。


ま、それはともかく、私に「50才にもなって、外車も買えないの?」
とおっしゃるのは、たぶん、若い方なのだろう。
そういう方は、いまはわからないかもしれないけど、
私たちの年ごろになったら、きっとわかってくださると思う。

日本の社会では、ある程度の年齢にならないと、なかなか豊かにはなれない。
だからといって、ある程度の年齢になりさえすれば、急に豊かになれる
というわけではない。豊かになれるのは、やはり、一握りの人たちなのである。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
私らの年代は、子どもの教育にお金がかかっていて、
外国産オートバイなんか買う余裕のある人は少ないから。
それだけ。
(^^;


ちなみに、私たちのすぐ下の世代はというと、「3ない運動」の影響で、
二輪免許そのものを持っていない。だから、外国産オートバイを
売り込もうと思うと、大型二輪免許から取らせないといけない。
さすがにハードルが高すぎる、ということで、これもスルー。
ということで、「3ない運動」が下火になった、1980年代後半以降に
青春時代を迎えていた層を、ターゲットにしたのであろう。

けれども、この世代は、プラザ合意以降のバブル時代に青春時代を過ごしてきたから、
豊かさも知っているけど、同時に、バブルが崩壊したあとの厳しさもよく知っている。
経済のグローバル化により、急速に格差がひろがった世代でもある。
この世代の人たちというのは、非常に醒めた面を持っているから、
外国製オートバイなんか買うんだろうか、とも思うけどな。
ま、冷静に考えたら、200万円以上もするオートバイがバンバン売れている
いまがおかしいんだよね。(笑)



共通テーマ:バイク