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いまさら人には聞けないシリーズ1 外足荷重 [オートバイの話]

オートバイに乗って、カーブを曲がるときは、外がわの足に
体重をかけるのが基本である。


いつになく、長いまえがきで恐縮であるが、いよいよ総選挙である。
民主党、自民党ともにマニフェストを出した。民主党は高速道路の
無料化とともに、揮発油税の暫定税率の廃止などをうたっている。
私自身は、政治にはほとんど関心はないのだが、
大学時代は「交通論」のゼミに入っていたし、交通新聞を読んでいた。(笑)
だから、こういった一連の政策には関心がある。
で、その結論。

なにがしたいのか、わからない。
(^^;

この一連の政策の結果として予想されることは、当然のことながら
財政の悪化である。現在、日本国は膨大な財政赤字となっており、
そのほとんどが、国債のかたちで発行されている。
そして、それを日本銀行が買い取り、金融市場にばらまいている。
主要先進国のなかで、国債を中央銀行が買い取るというインチキ
をやっているのは、たぶん、日本だけである。

で、たまりたまった赤字が、ざっと800兆円!


「まあ、日本には膨大な貿易黒字と対外資産があるから、
なんとかなるんじゃないの。」
みたいな楽天的な意見もあるけれど、経済構造の変化から、
貿易黒字は減る傾向にあるし、1兆ドルを超える対外資産のうち、
多くを占める米国債(ざっと5000億ドル)は、たぶん帰ってこない。

経済学に詳しい友人によると、日本の戦後はプラザ合意をもって
終わった、とみるべきなのだそうだ。けれども、外交、防衛のうえでの
戦後はまだ終わっていなくて、日本は自分で自分の国を守れない。
そのような状況において、5000億ドルをちゃんと耳をそろえて
返してもらえて、なおかつ、800兆円の累積債務も、諸外国がちゃんと
引き受けてくれる、などという見方は、楽天的にすぎる。

800兆円の借金は、結局は私たちの子孫の世代がかぶることに
なるのである。まずは、これをどうにかしなければいけない。

ハナシを高速道路に戻すと、旧日本道路公団が残した累積債務が
ざっと40兆円。これに、高速道路はあと2000kmはつくると約束している
のだから、その建設には、ま、かるく20兆円はかかるだろう。
ということで、あわせて60兆円。
で、どうやって返済するのか。
それを議論せずに、いきなりタダにして、いったい、どうするというのか。

ま、こまかいハナシはあとでゆっくり、ということなのだろう。
けど、こまかいハナシをつめた結果、

「クルマを買ったときには総額の10%、
オートバイを買ったときには総額の20%を
自動車取得税として、くださいね。
あと、温暖化対策税もお願いね[黒ハート]


みたいなことになるのだったら、そんなもん、まっぴらごめんだ、
と思うのであるが。

ま、それはともかく。


で、いきなりハナシは本論に入るけど、先日の記事では、私のBlogを
読んでくださっている方のニーズを分析して、
「いまさら、人には聞けない」ということが、ひとつのキーワードに
なっていることがわかった。
そこで、今回から何回かに分けて、オートバイに乗るうえで
ベテランには常識だけど、初心者にはいまひとつ、よくわかっていない
ことについて、述べてみようと思う。題して、

「いまさら、人には聞けないシリーズ」(笑)。

その第1回は、外足荷重についてである。
なお、このBlogでは何度も申し上げているが、私は運転がうまくない。
ていうか、どヘタもいいところである。
だから、ここでは運転がうまい人の観点から、速く走るための技術を語る
のではなく、運転がどヘタな私が、いかにして、他車に迷惑をかけず、
かつ、安全に走っているのか、ということについて述べたい。
言い換えれば、どヘタでありながら、いかにして、より多くの
セーフティ・マージンをかせいでいるのか、ということである。



ということで、外足荷重であるが、オートバイに乗っていてカーブを曲がるときには、
外がわの足に体重をかけるのが、基本中の基本である。これを守らないと、
いざというときに、重大なケガをする。だから、ぜひとも守った方がいい。

なぜか。

また、話はとぶけれど、先日、世界最高峰の自転車ロードレースである
ツール・ド・フランス2009が開催された。私は、ああいった自転車のトップ
レーサーたちのコーナリングフォームは、非常に参考になると思っている。
彼らはみんな、きれいなリーンウィズのフォームでまわっているし、
外足荷重を徹底している。一般的なオートバイ乗りは、ぜひとも、
ああいったフォームをマネるべきだと思う。

なぜ、リーンウィズの外足荷重なのか。

まず、自転車に乗っている人なら、誰でも知っていることなんだけど、
ロードスポーツの細いタイヤで内足荷重をすると、簡単にタイヤが流れて
しまうから。彼らは、ころがり抵抗を減らすため、
チューブラータイヤという特殊なタイヤをはいている。
チューブラータイヤの幅は18ミリくらいと、極端に細く、
横方向のグリップなんか、ほとんどないのである。
でありながら、下り坂などでは、時速80km以上の猛スピードで落ちていくのである。
なおかつ、ロードレースというのは一般道だから、けっこう、路面が荒れている。
タイヤがズリッとくることは、よくあるのだ。
そういう状況で、最も安全に走ることができるのは、リーンウィズの外足荷重である。

rider6.gif


オートバイの場合は、自転車よりもタイヤが太くて、グリップがいい。
だから、多少、ルーズなフォームでもまわれてしまう。
また、コーナリング速度の限界も高い。
けれども、サーキットではない一般道路では、限界に近いスピードで
まわっているときでなくても、カーブの途中で、いきなりタイヤがズルッと
滑ることは、よくあることである。ありがちなケースとしては、
路面があれていたとか、あるいは、なにかを踏んだときであろう。
そういうとき、外がわの足に荷重していれば、とっさに踏んばれる。
けれども、内がわの足に荷重していると、もう、どうしようもない。
すべって倒れていくバイクを、さらに押し出しながら倒していく感じになるから、
もう、コケるしかないのである。

そして、そういうコケ方をすると、必ず、内がわの脚の上にオートバイの車体
が乗ってしまう。そうして、一蓮托生となり、オートバイに引きずられていく。
まず、重大なケガをするし、あるいは、運が悪ければ死ぬ。

ride2r.gif


では、具体的には、どうしたらいいのか。

外足荷重といっても、走り屋がやっているような、ハングオンのフォームで
フルバンクでカーブをまわるという、限界をきわめるのでなければ、
外足に全体重をのせるといった積極的な荷重でなくても大丈夫である。
私のやり方としては、外側のステップに体重をのせるというよりも、
むしろ、内側の足をリラックスさせ、体重を抜く、という意識で走っている。
そうすると自然に外側のステップの荷重が増えるし、また、外側のひざで
タンクを押さえるような動作が自然にでき、ホールド感が高まるのである。

それで十分だと思う。

要するに、すべったときにバランスをくずさなければ、それでいいのである。
また、私の場合、両ひざでタンクをはさみこむということは、していない。
内側の足は、リラックスさせるわけだから、当然、かるく開くことになる。
つまり、ニーグリップはしていない。



こういった考え方に対して、カーブを曲がっている最中ではなくて、
オートバイを傾けるきっかけとして、内足荷重をするという人もいる。
けど、私はやめた方がいいと思う。
オートバイを傾けたその瞬間、後輪が流れたら、どうするというのか。
経験的に言って、路面がよくない状況だと、それは十分に起こりうることである。
内足荷重は、狭い教習所のコースを時速20km以下でスラロームをするときとか、
あるいは、ほとんど静止状態から、車体の向きを変えるトライアルなどでは
きわめて有効な技術かもしれない。けれど、公道を走るときには、
ほとんど使うことがない技術であろう。



ところで、外足荷重自体は、昔から言われている技術だけど、これについて、
強調するライディングテクニックの本は、減ってきているように思われる。

理由は、タイヤの進歩であろう。

いまのラジアルタイヤは、内足荷重をしていても、十分、グリップするほど、
進歩しているから。また、道も昔にくらべると、ずいぶんとよくなったし。
だから、転倒さえしなければ、べつに内足荷重でもかまわない、ともいえる。
けれど、いざ転倒したときには、外足荷重をしていないと、重大なケガにつながる。
だから外足荷重は、やはり、やっておくにこしたことはない。
そのように思われるのである。



ということで、本日の記事のまとめであるが、
オートバイに乗って、カーブを曲がるときは、外足荷重である。
ベテランのオートバイ乗りの方には、
「なにを当然のことを言っておるのか。」
とか言われそうだけど、この記事は、そういう企画なのである。
だから、あたたかい目で見てほしいのである。
(^^;



ちなみに、私自身は、オートバイに乗る前には自転車に乗っていたから、
外足荷重は当然だと思っていた。もちろん、それを理解するまでには、
激しくコケたこともあるけれど。
ま、誰だって、峠でいちど死にかければ、外足荷重をするようになる。
けど、なにも好き好んで、死にかける必要はない。
とりわけ、中高年でオートバイに乗り始めたという方は、
いまさら、峠で死にかけるというような、みっともないマネをするよりは、
さっさと外足荷重を覚えた方がいいだろう。



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