SSブログ

トクかソンか? [オートバイの話]

ETCを付けるのは、トクかソンか?
結論から先に言うと、土日を中心に乗られる方で、今後2年間を
目安として、都市部、幹線路線を中心に、年間1200km以上、
高速道路を使われる方なら、二輪用ETCを付けた方がトクであろう。



前の記事に関しては、たった一晩で、いろんな方から、いろんなご意見を
いただいた。なかには、特定の政党支持者とみられる方もおられて、
かなりきつい、ご批判のお言葉も頂戴した次第である。
けれど、何度も言うように、私は政治には、ほとんど関心はないのである。
私の関心は、以下のことだけである

二輪用ETCを付けるのは、
トクなのか、ソンなのか。


で、民主党政権になったら、ETC車載機がムダになる、という説に
ついてであるが、仮に、こんどの総選挙で民主党政権になるという
ことが起こったとしよう。けれども、民主党自身、即刻、すべての
高速道路を無料にする、なんてことは、ひとことも言ってないのである。
当然、段階的に無料化をすすめるだろう。

北海道の道東自動車道のような、だーれも乗らなくて、維持している
だけで赤字が発生するような路線は、すぐに無料化されるかもしれない。
けど、都市部周辺や、東名、中央、名神など、黒字の幹線路線については、
無料化は、あとまわしにされるものと思われる。

無料化されなかったりして...。
(^^;


まあ、それはともかく、こういった黒字の幹線路線については、
2年くらいは、現在の体制が続くのではないかと思われる。
いろいろと関連する法案も通さなければいけないことだし。
そのあいだ、土日を中心に乗られる方で、おおむね、年間1200km以上、
高速道路を使われる方なら、二輪用ETC車載機をつけても、
十分にペイするだろう。
1200km以上の根拠は、高速道路の料金は1kmあたり24.6円だから。

 1200km×24.6円/km = 29,520円

これだけ乗る方なら、約4万円の二輪用ETC車載機は、2年以内に
減価償却できる可能性が高い。だから、ETCを付けた方がトクである。
これ以下なら、ソンになるかもしれないけど...。

※もちろん、この計算は、今後2年間は、約束どおり、休日に1000円
 を上限とした割引が継続する、との前提に基づいているけれど。
 でも、これから無料化しようという政党が、いきなり約束を反故にして、
 割引なしの料金に戻す、なんてことは考えにくいので、
 たぶん、大丈夫だろう。



では、高速道路の無料化は、
トクなのか、ソンなのか。



この世の中、タダのものはない。すべて、どこかからお金を集めてきて
つくられ、利用者がそれを負担する。

「受益者負担の原則」である。

道路もまさにそうで、一般道路については、揮発油税や軽油引取税などの、
いわゆる道路特定財源により、つくられる。
オートバイに乗っていらっしゃる方なら、みんな、ガソリン1リットルにつき、
53.8円の揮発油税を払っているわけだけど、こういったお金が、
道路の建設や維持にあてられるわけだ。

高速道路については、現在は、独立行政法人日本高速道路保有・債務
返済機構(以下、保有・返済機構と略す)が所有していて、
高速道路会社が、それを借りているというかたちである。
高速道路会社3社は、高速道路の管理・運営を担当し、
集めた料金収入のなかから、保有・返済機構に対して道路のリース代
を返済するという仕組みになっている。いわゆる上下分離方式。
高速道路の料金収入は、だいたい年間2.5兆円である。
そのなかから、これまでの累積債務である約40兆円を返済するわけだ。


仮に、高速道路を無料化するならば、年間2.5兆円の料金収入は、
高速道路会社に入らないことになる。高速道路会社にとっては、
経営の根幹にかかわる問題である。
けど、高速道路会社としては、年間2.5兆円を、誰かが払ってくれさえ
すれば、それでいい。むしろ、その方が利用者から、いちいち料金を
集める手間もかからないし、願ったりかなったりである。

※この点は、ある方のBlogにおける、ご指摘のとおりである。
 貴重なご指摘をいただき、どうもありがとうございました。 m(_ _)m



じゃあ、誰が払うのか。

そこが、根本的な問題なのである。
言っとくけど、国は払えない。すでに、国の借金は、累積で819兆円も
積もり積もっており、とてもではないが、そんなもん、払う余裕はない。
一方で、高速道路会社は、年間2.5兆円は、絶対に取らなければならない。
取れなかったら、倒産してしまうからだ。
民営化ということは、そういうことである。

つまり、その2.5兆円について、誰がどうやって集めて、高速道路会社
に払うのか。そのことについてのスキームが描けなければ、
「高速道路の無料化」という計画は、まさに絵に描いたモチになるわけである。

もっとわかりやすく言うならば、JRに対して、「新幹線を無料にしろ。」と
政府が言うのはたやすいけど、そうすると、JRは当然、
「じゃあ、新幹線の料金収入ぶん、政府が払ってくださいよ。」
と言うだろう。政府はそれに対して保証し、なおかつ、そのお金の
集め方について、新幹線を利用する人も、利用しない人も、
すべての国民が、納得するような案を提示しなければならない。

そんなことができるのか!?


あるいは、高速道路会社なんか解散してしまえばいい、という人もいる
かもしれない。そうすると、道路の維持・管理ができなくなり、
とてもではないが、そんな道、怖くて走れない、ということになる。
また、たとえ高速道路会社を解散しても、旧日本道路公団が残した
約40兆円の債務は、厳然と残っているのである。
その分は返済しなければならない。

同じことだ。


いずれにしても、仮に高速道路が無料化された場合、
高速道路会社に対する支払い、もしくは約40兆円の累積債務の返済は、
受益者負担の原則にのっとり、結局は、私たち、道路の利用者が
払わなければならないのである。
世の中というものは、そういうものである。だから、仮に高速道路が無料化
された場合、揮発油税、自動車重量税、自動車取得税など、
道路特定財源の大幅な増税は避けられなくなるだろう。

さらに言うと、約40兆円の累積債務の返済ぶんと、高速道路の維持・管理費が、
すべての道路利用者に均等に割り振られることになる。
これは、高速道路を利用するかしないかは、いっさい関係ない。
均等に振り分けられる。
いままでのように、「オレはそんなもん、払いたくねえ!」と思う人は、
高速道路に乗らなければいい、というものではないのである。

だって、高速道路をタダにするんだもん。


運輸業界など、高速道路のヘビーユーザーである者たちにとっては、
トクである。まさに、願ったりかなったりだろう。
だけど、私たち、土日にしか、クルマやオートバイに乗らないような、
サンデードライバー、あるいはウィークエンドツアラーにとっては、
ソンである。そのことは、火を見るより、明らかなのである。


※この記事に掲載した内容には、見通し情報が含まれます。これについては、記載の日付における見通し情報のみを表します。この見通し情報では、将来の事象について記述されているため、不確定な結果がもたらされる場合があります。その不確定な結果により生じた損害については、takは一切の義務を負いません。


共通テーマ:バイク