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下北山スポーツ公園キャンプ場 [ツーリング情報]

奈良県の下北山村に、下北山スポーツ公園キャンプ場という
ところがあるのだけど。

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ここは、通年、営業しているし、料金も安いし、
「下北山温泉 きなりの湯」という施設が隣接していて、
午後9時半まで、温泉に入ることもできるし、
とても快適なキャンプ場なのである。
私は、過去2回、ここを利用しているのだけど、
何度来てもいいと思う。2009年5月1日金曜日に、
3回めの利用をした。

私の装備は、オートバイに一人用テントなので、
利用するのはいつも、池原ダム直下のフリーテントサイト。
巨大なダム堤体の真下なので、なんだかプレッシャーである。(笑)

下北山スポーツ公園キャンプ場は、いつもすいていて、
これまで利用したときは、だいたい、私ひとりであった。
今回も、私のほかには、セローに乗ったオートバイ乗りさんが、
ひとり来ているだけだった。
広大な芝生サイトに、たった二人だけだから、
なんだか、さびしいくらいである。


ところで、ダムのことに詳しい方であれば、この池原ダムは
変わった構造であることに、気がつくことだろう。
放水のゲートがないのである。

「あれ? これじゃあ、水はたまる一方で、いつか、あふれて
しまうんじゃない?」

そう思われる方は、相当、スルドくて、じつは、池原湖の対岸に、
もうひとつダムがあり、そこにはちゃんと放水のためのゲートが
取り付けられているのである。Jパワー(電源開発株式会社)の
池原発電所で、下流の七色ダムとのあいだで、揚水発電を行っている。
出力は35万キロワット。


揚水発電というのは、巨大なバッテリーのようなものである。
電気というものはナマものであり、発電所は常に需要量に
合わせて発電する必要がある。けれども、火力発電や原子力発電は、
電力の需要量に合わせて、出力を調整するということができない。
常に、一定の出力で運転される。
水力発電は、水を流す量と時間により、発電量を調整することが
可能である。だけど、発電量そのものが小さい。

じゃあ、どうするか。 

夜間のあまった電力で、上の貯水池に水をくみ上げておく。
そして、昼間、電力が必要なときには、下の貯水池に水を流して
発電する。そうやって調整するのである。
これが揚水発電であり、つまりは、電気を貯めておくためのシステム
なのである。


私は、本気で二酸化炭素を削減することをめざすなら、
電気を効率的に貯蔵できるシステムを開発することが重要であると
思っている。揚水発電は、現時点において実用化された、唯一の
電力貯蔵システムである。膨大な二酸化炭素を発生する火力発電所の
建設を抑え、原子力に移行しつつ、揚水発電所の数を増やしていくしか、
現時点においては、二酸化炭素削減の方法はない。

「いや待て。風力発電という手があるじゃないか。」

そういう意見もあるかもしれない。けれども、実際に風力発電の
現場を見たことがある方なら、直感的にわかっていただけると
思うけど、あれって、直径30メートルくらいある風車がビュンビュンと
うなりをあげてまわっていても、その出力は、わずか10キロワットくらい。
つまり、風車を1万本立てて、それがすべてフル稼働しても、
その出力の合計は、原発1基にも満たないのである。
それに風力発電は、文字通り、風が吹かないと、発電できない。
日本国内だと、風車がビュンビュンとうなりをあげて回ることなんか
ほとんどない。安定供給という観点からは、まったくあてにできないのである。
そういった意味では、風力発電というのは、自然エネルギー利用による
二酸化炭素削減のシンボル的な事業という役割を果たしているが、
実際の効果はあまりない、とみることができるだろう。


一方で、揚水発電には欠点もある。池原ダムと池原湖、それに、
下流がわの七色ダムと七色貯水池。これほどまでに巨大な構造物をつくり、
大規模な自然破壊を行ったあげく、その出力は、たったの35万キロワット。
きわめて非効率的なのである。

電気を効率的に貯めておくための究極の技術は、超伝導である。
電気抵抗がゼロの物質ができれば、それで巨大なコイルをつくり、
電気を大量に貯蔵することができる。そのようなものができれば、
夜間、つくった電気を、昼間、使うということが可能になる。
揚水発電は不要になり、原子力発電所と超伝導貯蔵所だけで、
十分にまかなえるだろう。

けれども、超伝導の電力貯蔵システムは、まだ実用化されていない。
ないものを議論していても、仕方がない。

ということで、現状においては、原子力発電と揚水発電の組み合わせ
に頼るしかない。原子力という神の火を人間が扱うことの危険性と、
揚水発電所の建設による膨大な自然破壊。
問題は、きわめて多いと思う。
でも、それしか、道は残されていない。
私たちは、どうしたらいいのだろうか...。

池原ダムの下でキャンプをして、温泉に入りながら、
私は、そのようなことを考えていたのであった。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
下北山スポーツ公園キャンプ場は、とても快適なキャンプ場であり、
温泉もある。のんびりと過ごすには、とてもいいところである。
紀伊半島でキャンプをしたい、と考えておられる方は、
候補地に加えられるといいだろう。
そして、ここを訪れたときには、揚水発電というエネルギー供給の現場を
見ながら、私たちの将来を考えてみるのも、たまにはいいのではないか。
そのように思うのである。

リンク
きなりの郷 下北山スポーツ公園


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