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新鹿の海 [ツーリング情報]

楯ヶ崎を見た後、新鹿(あたしか)の海を見に行った。

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新鹿の海


新鹿は、古くからの地名である。
「日本書紀」に、神武天皇が東征軍を率いて、熊野の荒坂津に
至ったという記述があるのだが、このアラサカが、アラシカに訛り、
さらに、新鹿になったと解釈されている。
(出典:国鉄全駅ルーツ大辞典)

それはともかく、新鹿の砂浜は、南紀地方を代表する海水浴場である。
環境省の「日本の海水浴場100選」にも選ばれており、
水がきれいなことで有名である。
尾鷲、熊野周辺では、それこそ、どこでも海があるわけだが、
地元の人でも、わざわざ新鹿まで泳ぎに来る。
私も子どもの頃、両親に連れられて、2駅だけ汽車に乗って、
新鹿まで、泳ぎに来たことを覚えている。
汽車の窓から見える新鹿の海が、とてもきれいだったのと、
泳いでみると、水が澄みきっていたことが、強く印象に残っている。


新鹿の海がきれいなのは、海に注ぐ里川がきれいだからである。
里川は、ほんの10kmくらいの川なのだが、
山から、いきなり海に流れ出しているような感じである。
流域には海を汚すようなものがない。
谷川のまま、海に注いでいるようなものだ。
だから、きれいなのだ。
要するに、海も川も、人間が汚しさえしなければ、みんなきれいなのである。


新鹿の地形は、少し変わっていて、海岸にほぼ並行して、里川が流れている。
そのため、駅をおりてから、砂浜に出るためには、海水浴の時期だけ
架けられる、小さな橋をわたらなければならない。
私の子どもの頃は、この橋をわたるのが、けっこう、スリリングで楽しかった。
細い橋の上から、川を見下ろすと、きれいな水のなかで、ハヤがたくさん
泳いでいるのがみえた。


現在の新鹿の海であるが、いまだにきれいである。
上の写真は、よく晴れた日の午後、PLフィルターで海面の反射を取って
撮影している。新鹿の海の美しさを、少しでも感じていただければと思う。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
新鹿の海は、南紀随一の海水浴場として、水がきれいなことで有名である。
この夏、南紀に海水浴に行くならば、ぜひとも、新鹿に行ってみることを
おすすめするものである。



その新鹿の海であるが、いま、危機的な状況である。
というのは、現在、国道42号線のバイパスとして、「熊野尾鷲道路」が建設
されているから。(現在は尾鷲南~三木里インターチェンジ間が開通ずみ)

こういう大規模な土木工事では、山を崩し、土を盛る工事が行われるので、
それだけで、必ず、濁った水が出る。
おまけに、こういったところをねらって、全国から産廃業者が来る。
通常の手続きでは、処分できないゴミを捨てに来るのである。
もちろん、違法なのだけれども、夜遅く、こっそりと捨てに来るから、防ぎようがない。

すでに、賀田湾では、高い濃度の重金属が検出されているという。
今後、熊野尾鷲道路は、新鹿インターチェンジが建設される予定である。
新鹿のきれいな海を、なんとか残したいと思うのだが...。



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