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楯ヶ崎の柱状節理 [ツーリング情報]

久しぶりに、実家のある三重県尾鷲市に帰った。
そして、お隣の熊野市にある楯ヶ崎を見てきた。



tate1.jpg
楯ヶ崎

<撮影データ>
オリンパスE-510 + ZUIKO DIGITAL ED14-42mm
ISO感度100 1/180秒F5.6 PLフィルター使用


楯ヶ崎とは、ご覧のとおり、柱状節理の火成岩が侵食された
大きな一枚岩である。高さは約80メートル。場所は以下である。

mapion.gif  楯ヶ崎


楯ヶ崎は、昔は船でないと、見ることができなかった。
私は子どもの頃、親戚の漁船に乗せてもらって、
連れて行ってもらった記憶がある。
現在は、国道311号線から遊歩道が整備されており、
往復で1時間半ほどの行程になるけれども、
徒歩で、見に行くことができる。

柱状節理であるが、全国的にみると、わりと珍しい地形である。
福井県の東尋坊とか、兵庫県の玄武洞などが代表的なものであろう。
紀伊半島のこのあたりの海岸も、典型的な柱状節理となっており、
周辺の三木崎や神須の鼻あたりでも、独特の景観を見ることができる。

少し地学に詳しい読者の方なら、
「なぜ、火山帯のない紀伊半島に火成岩が?」
と思われるかもしれない。
そう思われる方は、なかなかスルドくて、じつは、私の実家のある
尾鷲市周辺は、熊野酸性岩という地質になっていて、
紀伊半島でもここだけが火成岩でできているという、特異な場所
なのである。およそ1400万年前の、火山活動の跡なのだそうだ。

sansei.gif


リアル友人のmichu氏は、国立大学の地質学科を出ているのだが、
彼にによると、
「日本列島というのは、太平洋プレートとフィリピン海プレート、
ユーラシアプレートと北海プレートという4つのプレートが衝突して、
浮いてきた灰汁(アク)の集まりのようなもの。」
なのだそうだ。だから、水成岩が主体の紀伊半島に、突如、火成岩が
出現しても、なんの不思議もないらしい。
ま、地質の世界は奥が深く、素人が語るのはむずかしいのである。


2009年5月3日、午前11時。国道311号線沿いにある無料の駐車場に
オートバイをとめ、歩き始めた。すぐに急な下りになり、
下りきったところに神社。そこからは急な登り。
そして、さらに下ったところに、楯ヶ崎がある。
直線距離でいうと、1kmくらいしかないんだけど、アップダウンが激しい。
だから、往復で1時間半もかかるというわけである。
人により、評価はさまざまであろうけど、私としては1時間半、
歩くだけの価値は、十分にあると思う。

無料だし。

この日は天気がよく、海が青かった。
しばらく見ないうちに、透明度がすこし下がったような気がするけど、
まだまだ、故郷の海はきれいである。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
楯ヶ崎は、日本国内では珍しい柱状節理の一枚岩ということで、
珍しい風景である。周囲の国道311号線は景色もいいし、
海もきれいである。機会があれば、ぜひとも訪ねてごらんになる
といいだろう。



ところで、このあたりの海の透明度であるが、年々、下がって
いるように思われる。とりわけ、最近は、私の実家のある賀田湾
の透明度がよくない。なんでも、最近、賀田湾に注ぐ古川の上流に
砕石場が出来て、そこが、泥水を垂れ流しているのだそうだ。
地元の漁協、および三重県としても問題視しているのだけど、
改善しないらしい。

ま、どこにでもある話であろう。

私が子どもの頃、このあたりの海は、透明度が抜群で、
水深20メートルくらいでも、底がきれいに見えた。
水中メガネとスノーケルをつけて泳いでいると、
なんだか、宙に浮いているような錯覚にとらわれたものである。
もう、あの頃の海は、永遠に戻ってこないのかもしれない。
さびしいけれども、仕方がないことなのだろう。


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