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狭い道の走りかた その1 [オートバイの話]

3ケタ国道など、狭い道をオートバイで走るコツについて。


私は、日本全国の国道を走るのが趣味、という変わった人間である。
国道というと、都会に住む多くの方は、片側2車線の整備された
高規格道路を想像されるかもしれない。
もちろん、全国的にそういった道は増えている。けれども、なかには
とんでもなく狭い道もあるのである。

こんな道とか。(笑)

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国道425号線 素堀りのトンネル(和歌山県)

あるいは、こんな道とか。(大笑)

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国道260号線 棚橋トンネル(三重県)
※現在は旧道となっている


こういった狭い道を、安全にスムーズに走るためには、多少のコツがある。
そこで、今回から何回かに分けて、狭い道の走り方を論じてみたい。
なお、このBlogでは何度も申し上げているが、私は運転はうまくない。
ていうか、どヘタもいいところである。

だから、ここでは運転がうまい人の観点から、「狭い道をいかに速く走るか」
という方法を論じるのではなく、運転がどヘタな私が、「いかにして他車に
迷惑をかけず、かつ、安全に走っているか」ということについて述べたい。
言い換えれば、どヘタな運転でありながら、いかにして多くのセーフティ
・マージンをかせいでいるのか、ということである。



序論(基本的な認識、考え方)

まず、いえることであるが、クルマはどんどん大きくなっている。
それに対して、地方の道路の幅は、決して広くなってはいない。

クルマは、この20年ほどのあいだに、飛躍的に大きくなった。
いまの若い人は知らないだろうけど、乗用車の大きさというものは、
むかしは5ナンバーの範囲内と決まっていた。それ以上の大きさに
なると、自動車税が一気に2倍になったのである。

当時の日本では、道路の幅が概して狭かった。ということで、
5ナンバーの範囲を超えると、自動車税が一気に高くなるように
設定されていたのは、そのことを考慮したうえでの、一種の規制で
あったのだ。ちなみに、5ナンバーの範囲というと、
車幅は1.7メートル以内と規定されている。

1989年に、諸外国の圧力により、クルマの大きさに対する規制が
緩和された。日本では、5ナンバーの枠があるために、大きな輸入車が
売れなかったからである。諸外国は、これを非関税障壁であると決めつけ、
規制の撤廃を求めた。以降、自動車税は、クルマの大きさに関係なく、
その排気量に応じて、課せられるようになったのである。

このことの功罪は、ここでは述べない。けど、その規制緩和以来、
クルマは、年々大きくなり続けた。いまや、SUVやミニバンでは、
車幅1.8メートルがスタンダードである。


そういったクルマの変化に対して、道路の幅もひろげられていった。
古い高速道路では、レーンの幅が3.5~3.6メートルであったのに対して、
新しい高速道路は、3.75メートルに設計されている。
けれど、それは主として幹線道路の話であり、
時代の流れに忘れ去られたような地方の国道は、いまだに狭いまま。
道幅が2.75メートルの第3種第4級道路、いわゆる1.5車線の道路は、
全国に無数にある。


ところで、オートバイの車幅は、だいたい0.8メートルくらいである。
けど、0.8メートルの道幅しかないと、足をつくスペースがなくなる。
だから、オートバイの通行には、最低でも0.9メートルくらいの幅が
必要であるといえよう。
ということで、全国に無数に残る1.5車線道路、つまり、道幅2.75メートル
の道で、車幅1.8メートルのSUVやミニバンとオートバイがはち合わせ
になったらどうなるか。

道幅2.75m - クルマの幅1.8m - オートバイの通行に必要な幅0.9m
0.05m

ということで、行き違うのは非常に苦しくなる。


え、計算上は大丈夫じゃないかって?


なんだってそうだと思うけど、ものごとには余裕というものが必要である。
たしかに、計算上は5センチの余裕があり、1.5車線の道で、オートバイと
SUVとかミニバンが行き違うことは可能だけど、実際問題としては、
非常に厳しい。クルマの車幅の1.8メートルというのは、ボディの幅であり、
実際には、これにドアミラーの幅が加わる。実質的には、SUVとかミニバン
がスムーズに通行するには、2メートル以上の幅が必要だ。

また、第3種第4級道路の幅員2.75メートルという規格であるが、
私は限りなくウソくさいと思っている。これは努力目標のようなものであり、
実際には2.5メートルくらいの道が多いのではないか。いままで、いろんな
国道を走ってきた経験から、そう思う。
国道421号線の石榑峠(いしぐれとうげ)なんか、幅2メートルのコンクリート
ブロックが設置してあるもんな。私は、もう20年くらい前になるけれど、
FFジェミニで国道421号線を走っていて、あれに遭遇し、発狂しかけた。
先日、ある方より、あれが現在もなお、存在していることを聞いて、
懐かしく思うとともに、おもわず笑ってしまったけど。

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国道421号線 石榑峠のコンクリートブロック(三重県・滋賀県の県境)
出所:Wikipedia



まあ、とにかく、クルマはどんどんでかくなっているけれど、
地方の道路は、広くなっていない。そういう狭い道を安全に走るためには、
特別な技術は必要ないけれども、観察力と注意力が必要。
ある意味では、アタマを使った運転が要求されるのである。
(つづく)

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