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人とくるまのテクノロジー展2008 [オートバイの話]

「人とくるまのテクノロジー展2008」を見に行ってきた。

5月21日よりパシフィコ横浜で開催されている自動車産業の
技術情報展示会である「人とくるまのテクノロジー展2008」
を見に行った。

tech2008.jpg
人とくるまのテクノロジー展2008

リンク
自動車技術会


私は、仕事の関係で、毎年、この展示会を見に行くのだけど、
今年の各社の展示を見ていると、省エネとか環境対応一色に
なってしまったなあ、という印象である。

この展示会は、景気がいいときは「安全対策」が、
景気が悪いときは「省エネ」とか「環境対応」がメインテーマになる。
そういった意味では、とてもわかりやすいんだけど、
どうも、理想の交通社会の実現のため、
なにがなんでも安全なクルマの実現をめざす、というような
骨太の思想がないようにも感じられるのだけど。


まあ、それはともかく、四輪関係のメーカーのブースでは、
乗用車用のディーゼルエンジンの展示が多かった。おそらく
欧州向けが主体になるのだろう。
ディーゼルエンジンってやつは、一定の回転でまわし続けると、
とても燃費がいいんだけど、ストップ&ゴーが連続する
日本国内の都市部では、そのメリットが十分いかしきれない。
そういった意味では、長距離連続運転の多い欧米ではディーゼルが、
ストップ&ゴーの多い日本国内ではハイブリッドカーが主流となる
のかもしれない。
とはいえ、ディーゼルもハイブリッドも、しょせんは燃料電池車に
移行するまでの“つなぎ”にすぎないけど。


で、二輪はどうよ。

ヤマハは燃料電池車の開発に熱心であり、今回は、「FC-Dii」、
「FC-AQEL」などを展示していた。昨年の東京モーターショーで
展示されたものと同じであるが。
FC-Diiはメタノール水溶液を、FC-AQELは圧縮水素を燃料とした
ものである。FC-Diiはすでに形式認可もおりていて、ナンバーを
付ければ走ることもできるそうだ。あとは、量産するかどうかだけ。
けど、燃料がなくなるたびに、マツキヨか薬局を探して、
メタノールを買うというのは、現実的ではないけど。
とはいえ、毎年、必ず燃料電池車を出してくるヤマハの姿勢は
一貫していて、とても好感が持てる。

fc-dii.jpg
FC-Dii

fcel.jpg
FC-AQEL



スズキも燃料電池車「Crosscage」を出品していた。
こいつも水素を燃料としている。
フレームのXが交わったところにあるでっかいタンクが
水素タンクなんだけど。これじゃあ、怖くて、立ちゴケも
できないよなあ。なんだか、プレッシャーである。
とはいえ、ホンダ、ヤマハの上位2社が、安全対策から
スクーターへの移行路線を明確にうち出しているのに対して、
スズキがスポーツバイクっぽい、燃料電池車を出してくれたのは、
オートバイ乗りのひとりとして、とてもうれしい。

cross.jpg
Crosscage

ホンダは「DN-01」の展示だけ。ホンダは相変わらず、新しい技術の
開示には熱心ではない。とはいえ、DN-01も十分、未来のオートバイ
っぽいけど。

dn-01.jpg
DN-01



ということで、今日の記事のまとめであるが、
今回の「人とくるまのテクノロジー展」を見ている限り、
オートバイの燃料電池への移行は時間の問題。
しかも、遠い将来の話ではない、という感じがしてくるのである。


あと、20年もしたら、ほとんどが燃料電池に移行し、
現在のガソリンエンジンのオートバイを運転するには
特別な許可が必要、という時代になるのかもしれない。
そして遠い将来、博物館に飾られた現在のオートバイを見て、人々は、

「シリンダーに、空気と石油の蒸気を押し込んで
燃焼させて推進力を得るなんて、本当に人間くさい
乗りものを、昔の人は考えたもんだなあ。
でも、こんなもんに乗って、時速100キロ以上もの
スピードで走っていたなんて、とても正気じゃないよね。」


などと言うのかもしれない。私はそのように思うのである。


おまけ

カワサキだけは、現行のZX-10Rのカットモデルを展示していた。
新しい技術といえるものは、とくになんもなし。
そして、スーツを着たいい大人たちが、みんな、うれしそうにZX-10Rを見て、
携帯電話で写真を撮っているのである。(笑)

zx-10.jpg
ZX-10Rのカットモデル

かくいう私も、なんというか、カワサキを見ていると、
本当に、ほっとする。
近い将来、ホンダ、ヤマハ、スズキの3社が、すべて燃料電池車に
移行したあとも、カワサキだけはガソリンエンジンの大型車をつくっている
ような気がする。
そして、カワサキ車のオーナーたちは、他の3社がすべてATに移行しても
マニュアルを選ぶんだろうな。で、信号が青に変わるたびに、
ギアをガッシャン、とかいわせながらローに入れて、走り去って
いくんだろうなあ。
そこに、カワサキ乗りのダンディズムを感じるのは私だけでは
ないはずである。

なんというか、国産メーカーのうち、カワサキだけは、
それが許されるような気がするのである。



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