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オートバイの変速機はますます進化する [オートバイの話]

オートバイにおける自動変速機は、今後、ますます進化する
に違いない。



フォルクスワーゲンのDSG (Direct-Shift Gearbox)
※ 自動車に搭載する変速機としては、現時点で最高のものであると思われる。 

    出所: フォルクスワーゲン ホームページ

 
250ccのスポーツ車はCVTを搭載して復活させてはどうか
の記事のPVが、おかげさまで1000を少し超えた。
これは、べつに私の書いた記事がおもしろかったという
わけでもなんでもなくて、オートバイ、とりわけスポーツバイク
におけるATの搭載が、いま、オートバイユーザーにおいては
大きな関心事となっているということなのだろう。
きっかけとなっているのは、もちろん、東京モーターショーに
おいて、ホンダがHFTとDN-01の市販化を発表したことだ。
 
 
そもそも、内燃機関がこれほどまでに発展・普及したのは、
自動変速機の進歩によるところが大きいのである。内燃機関と
いうものは、大きなトルクを発生する回転数の範囲が小さく、
本来ならば使いにくいものであるからだ。

自動変速機がない時代は、どうしていたのか。

その昔、鉄道のディーゼル機関車は、ディーゼルエンジン
によりいったん発電機をまわし、そこで発生した電気により
モーターをまわすという方式であった。こういうのを
ディーゼル・エレクトリック方式という。
国鉄でもっとも初期のディーゼル機関車であるDF50は、
こういった方式であった。エンジンの排気量は、
約12.5万CCという巨大なものであったものの、
その出力は、わずか600kw(約800馬力)であった。
 

旧国鉄のDF50型ディーゼル機関車
交通科学博物館(大阪市)保存

注)ちなみに電動機(モーター)は、幅広い回転数において大きな
  トルクを発生するから、変速機は必要ない。DF50、あるいは電車に
  変速機がついていないのは、こういった理由による。
 
 
その後、液体継手(フルッドカップリング)が発明されたことに
より、ディーゼルエンジンの発生する回転力を直接使って走る
機関車や気動車が登場した。
クルマにおいても、液体継手の発展形であるトルクコンバータ
と遊星歯車(プラネタリギア)を組み合わせた自動変速機が
開発され、それを搭載したAT車が普及した。
 

国産のオートバイにおいて、トルクコンバータを使った自動変速機
を最初に搭載したのは、ホンダのエアラであった。
が、あれは、ちょっと無理があったな。
あの時代のトルクコンバータは、オートバイに積むには、
あまりにも大きくて重すぎた。
あれ以来、自動変速機を搭載したオートバイは出なくて
オートバイの変速機は、もう進化しないのかな、と思っていた。
ところがどっこい。
新しい自動変速機として、Vベルト無段階式が出て、CVTが出て、
ホンダがHFTを発表。そして、HFTを搭載した最初の
オートバイであるDN-01が、来春、発売されるのは、
前述のとおりである。
 

これまでに述べたのは自動変速機についてであるが、
半自動変速機(セミオートマチック)も、それなりに進化している。
ヤマハは電子制御のYCC-S(Yamaha Chip Controlled Shift)
を搭載したFJR1300ASを発表している。
また、現時点では、まだ、オートバイに搭載される見通しは
たっていないけれど、ボルグワーナーが開発して、
フォルクスワーゲンのGOLFに搭載されているDSG(Direct-Shift Gearbox)は、
自動車に搭載する変速機としては、現時点における
最高のものであると思われる。私は、DSGが小型化されて、
オートバイにも搭載されるようになるといいな、と思っているのだが。

注)三菱自動車のTwin Clutch SSTも、原理的には
  同じものでないかと思われる。

 
 
ということで、自動変速機であるが、今後もさまざまな方式が
開発され、イージーライディング、あるいは省資源の実現
に貢献していくことだろう。

ところで、ハイブリッドカーは、現在はエンジンが主で
モーターが従であるけれど、将来は、これが逆になるらしい。
要するに、将来のクルマは、ディーゼル・エレクトリックの
DF50のような方式になるのである。
これを可能にするのは、インバータや回生ブレーキなど、
さまざまな機器の開発と、それをささえるパワーデバイス
の進歩である。
この段階になると、変速機そのものがいらなくなるか、
あるいは大幅に簡略化されたものになるものと予想される。
また、オートバイのハイブリッド化も十分、射程距離に
入ってくるだろう。

...DF50って、案外、先進的なやつだったんだな。
(^^;

 



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